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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第749号 <2016.11.8>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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各セッションの座長により、それぞれの講演の要点やセッションのまとめを
作成していただきました。会員の皆様に「座長報告」としてお届け致します。

産学連携学会第14回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、座長報告(12)
−産学官連携プロジェクト4             座長 湯本長伯
−開物成務塾2                   座長 杉岡秀紀
−リエゾン2                    座長 石塚悟史

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産学官連携プロジェクト4              座長 湯本長伯
6月17日(金)第2日目C会場(10:45〜12:00)

 農医薬及び健康・運動等の広い分野に様々に関わる5題が集められたセッ
ションであり、発表及び関係者は、1045-1農研機構、-2は佐賀有明地方の大
学、高専、農園(農事業者)、-3は高知工大と釜石事業者、-4は弘前・北海
道での健康街づくりCOI拠点関係者、-5は骨髄間葉系幹細胞医薬品実用化事
業関係者によるものである。一見バラバラなのだが、農医薬及び健康・運動
等分野に関わる、これから最重要な分野を暗示しているというのが、司会者
としての印象であった。
 医学も疾病機構の解明〜治療法の確立と洗練〜社会的問題の確立等の段階
の中で、健康保険財政を救う意味からも予防や健康地域づくりもあり、投薬
治療〜運動・食事療法もある。単純な大学と農業者による製品開発は解りや
すいが、社会的問題の解決の実際は然程単純でない。何を冒頭から述べてい
るかと言えば、例えば農業分野振興と言っても新製品開発や新品種創出、新
栽培法や新製品化など、今まで取り組まれて来た様々な対策施策が果して当
を得た努力となるか否か、必ずしも確信を持てない現状だということである。
例えばキラー新品種の開発も、過剰栽培すれば農業者の豊かさには繋がらず
市場の壁に阻まれる。司会の狭い経験の中でも、「農医薬健康運動分野?」
の進展と成果創出が、学術的にも社会的にも効果の上でも単純ではないこと
を痛感する。
 そういう意味で、-1「農業分野の産学連携の特徴」と題する国立研究開発
法人・農業食品産業技術総合研究開発機構(農研機構)の発表は、農産物の
1年1回生産性、気候地形等の地域特性の指摘から始まり分野の総合性と難
しさが、農研機構の産学連携史と現状を通じて述べられた点は高く評価出来
る。しかし冒頭から述べた点からすれば、やはりもっと広いテーブル上で情
報共有し議論し、制度や研究テーマと研究方法、研究資源などを設計してい
かないと、膨大な無駄を生じそうである。
 -2は佐賀有明地方の共同研究スタート期の様々な問題点分析から始まって
いるが、そのユニークさを活かすためにも「分野の壁を乗り越えた」研究事
業の設計を期待したい。
 -3は、高知−釜石JST復興促進広域地域連携事例(スラリーアイス)の報
告だが、震災復興企業として「どのような戦略」の中で、「何を目指し」
「何を達成したのか」、産学連携の在り方に言及する内容が見られるだけに、
もう少し明確に示すことが出来れば、次に繋がることになる。
 -4は「弘前・北海道での健康街づくりCOI拠点の取組み」報告であるが、
前年度の市民対話型ワークショップデザインを踏まえ、弘前COI拠点におけ
る「青森パッケージモデル」の概要と推進戦略を述べるとしている。青森は
全国一の短命県であることを踏まえ寿命革命を標榜し、「健康診断〜体力測
定〜健康施策〜予防〜医療」の連携プログラムを報告している。しかし冒頭
の研究・事業戦略視点から見れば、まだまだ考察の余地はありそうである。
単純に健保の社会負担減といった短期目標に囚われるのではなく、いま全国
各地で進む同種の綜合的多角的取組みを、相互連携・地域比較も含めて再考
察や議論することが出来れば、有効且つ効率的な事業となるばかりでなく、
新しい産業創出に繋がったり社会全体の健康度や活力を増進して、経済的な
押上げ効果も期待出来ると思うが如何か?
 -5は骨髄間葉系幹細胞を用いた細胞治療医薬品実用化事業の報告である。
これも共同研究〜創薬〜治療法創出(新しい作用機序による医薬品と治療法)
を狭く捉えなければ、多様な可能性を持つ社会的合理性の高い事業設計が出
来るように思われる。
 このセッションに集まった事業は、近視眼的な範囲での問題−解決を考え
ると余り上手く行かず解決に辿り着かない可能性もあるが、少し広い枠組み
を設定し技術的解決ばかりでない方向付けをすることで、コスト効率的で効
果大の成果を得る可能性を追求すべきと思うので少し歯痒い想いもした。こ
の5題の発表者間だけでも更に相互討論が出来れば、良い結果が得られそう
だという予感もした。そういう意味で、次年度以降のプログラム編成時に、
担当委員の熱い議論を期待し、その結果としての活発なセッション編成と運
営を期待したい。

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開物成務塾2                    座長 杉岡秀紀
6月17日(金)第2日目D会場(14:30〜15:15)

 本セッションでは、福岡県中小企業家同友会の九州・大学開物成務塾に参
加する経営者3人から発表があった。
 まず岩崎から「中小零細警備会社の共同・連携によるモデルケース―福岡
県中小企業家同友会の九州・大学開物成務塾の実践―」という報告があり、
九州・大学開物成務塾から生まれた共同企業ATUホールディングスの障害者
雇用についての現状と特徴、課題について共有できた。
 次に阿野から「「ユニバーサル着物でおもてなし」カンタン着物・長崎は
いからさんの開発と普及の実践―福岡県中小企業家同友会の九州・大学開物
成務塾の実践―」の報告があり、長崎におけるユニバーサル着物の現状や長
崎ならではの特徴、今後の展開について共有できた。
 最後は小橋から「建築物のカビ防除システム(ミルテック工法)でのカビ
防止のサービス経過報告(6年目)―開物成務塾の実践―」の報告があり、
ミルテック工法による防カビ、除カビの現状と今後の展望について出来た。
なお、小橋は6年連続で発表を継続しており、その進捗状況を学会にて報告
している。
 いずれも福岡県中小企業家同友会の九州・大学開物成務塾の実践事例であ
り、湯本会員の貢献が多いことが明らかになったとともに、大学(研究者)
と企業(経営者)との連携の必要性、セクターを越えて学びのコミュニティ
(塾)が存在する重要性について改めて考えさせられるセッションとなった。

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リエゾン2                      座長 石塚悟史
6月17日(金)第2日目D会場(15:15〜16:15)

 伊藤(JST)らは、科学技術イノベーション政策俯瞰をベースに、共同研
究の実施の前提となる企業と大学を繋ぐ「連携機能」に着目し、第5期科学
技術基本計画における指標及び数値目標「共同研究受入金額5割増」を達成
するために今後取り組むべき課題の検討に向けた基礎的調査について報告し
た。恒吉ら(エルゼビア・ジャパン(株))は、グローバル製薬企業の視点
から理想とする医薬品開発のパートナーとなる大学研究者(キー・オピニオ
ンリーダー)候補選定方法の検討と選定方法の有用性について考察した。内
山((株)内山刃物)らは、浜松地域において戦略的基盤技術高度化支援事
業(通称:サポイン事業)に採択された事例から、特に小規模企業は初期段
階から地域コーディネータと協同して産学連携を推進することが重要である
ことを述べた。鈴木(静岡大学)らは、政策を含めた我が国の産学連携を俯
瞰するにあたり、テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の世界観と重ね、
産学連携とコーディネータやリサーチアドミニストレータなどといった第三
の職の今後に関して問題意識を提起した。本セッションでは、4件の発表が
あり、新しい視点からの興味深い発表が多かった。

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                               以上