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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第745号 <2016.10.26>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
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各セッションの座長により、それぞれの講演の要点やセッションのまとめを
作成していただきました。会員の皆様に「座長報告」としてお届け致します。

産学連携学会第14回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、座長報告(10)
−産学官連携プロジェクト3             座長 伊藤慎一
−科学技術政策                   座長 中武貞文
−産学官連携プロジェクト5             座長 佐藤三郎

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産学官連携プロジェクト3              座長 伊藤慎一
6月17日(金)第2日目C会場(9:00〜10:45)

 本セッションでは、新技術であるスラリーアイスを活用した新装置開発
および大阪大学の共同研究講座に関する7つの研究事例についての報告があ
った。
 板谷茂(株式会社コア電子)らは「生鮮食品等の高衛生・鮮度保持に関す
る新たな冷却媒体生産システムの研究開発(第2報)」について報告を行っ
た。昨年度より研究を継続し、高い殺菌効果を持つ次亜塩素酸水と、生鮮品
の鮮度保持に有効なスラリーアイスを融合させた次亜塩素酸水スラリーアイ
スという新たな冷却媒体生産システムの研究開発を進めている。
 北村和之(株式会社泉井鐡工所)らは「生鮮食品等の高衛生・鮮度保持に
関する新たな冷却媒体生産システムの研究開発(第2報)」について報告を
行った。昨年度より研究を継続し、スラリーアイスを連続して提供する「ダ
イレクト製氷方式」を発展させた新技術の確立に向けた手法について研究開
発を進めている。
 秦泉寺雄三(株式会社垣内)らは「凍結濃縮装置事業化までの取り組み」
について報告を行った。果汁などの液状食品の水分を取り除き、濃縮液を製
造するいわゆる凍結濃縮の技術について行った内容を解説した。スラリーア
イスの技術導入を行いながら、小型装置を制作し実機販売にたどり着いた経
緯について、自社技術のペレット製造技術と併せて、技術面、マーケティン
グ面において確立した手法を説明している。
 田中敏嗣(大阪大学)らは「大阪大学産学連携制度10周年を越えた
NEXTstep〜10年のあゆみと今後の展開〜」について報告を行った。大阪大学
における産学連携の特徴的な取り組みとして共同研究講座制度を2006年から
実施しているがこれまでの歩みと達成してきたこと、今後の展望などについ
て紹介をした。
 浅子佳延(株式会社日本触媒)らは「大阪大学産学連携制度10周年を越え
たNEXTstep〜日本触媒における産学連携〜」について報告を行った。大阪大
学の共同研究講座制度を活用し2014年に設置して以来、株式会社日本触媒が
取り組んできたオープンイノベーションおよび若手研究者との連携構築など
の手法に非常に有効な取り組みであることについて事例を交えながら説明し
た。
 櫻谷慶治(大阪大学)らは「大阪大学産学連携制度10周年を超えた
NEXTstep〜NEXCO 西日本高速道路学共同研究講座の新たな取り組み〜」につ
いて報告を行った。NEXCO西日本高速道路共同研究講座の設置について高速
道路学の新たな学問領域としての体系化と社会的認知の場として従来の産学
連携の枠組みを超えた研究推進と人材育成を達成することに成功している。
 中澤慶久(大阪大学/日立造船株式会社)らは「大阪大学産学連携制度10
周年を越えたNEXTstep〜Hitz(バイオ)協働研究所における取り組み〜」に
ついて報告を行った。日立造船株式会社が大阪大学とともに共同研究から共
同研究講座設置までに展開を行った経緯と歴史、これらについて獲得した技
術手法がもたらす新たなオープンイノベーションの可能性について報告を行
った。
 本セッションではスラリーアイスという高い技術力に裏打ちされた研究開
発と共同研究講座制度という非常に関心度の高い取り組みと、大阪大学の共
同研究講座というオープンイノベーション社会を先取りした興味深い取り組
みの学際的アプローチについて紹介するセッションとなった。今後地方創生
に向けたさらなる新時代の幕開けのモデルケースとして、さらなる取り組み
の向上に期待したい。

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科学技術政策                    座長 中武貞文
6月17日(金)第2日目C会場(13:00〜13:45)

 金澤(日本大学)は、「科学技術政策における公的研究機関の役割」につい
て報告した。公的研究機関には、本来ミッション(設置の根拠法令)と科学
技術政策からの要請に応える2つの役割が求められていることを、「橋渡し」
機能に着目したレビューを行った。欧州の「橋渡し機能」についてフロア
からコメントがあった。山口(千葉工業大学)は、科学技術基本計画の記述
を基に、テキスト分析を活用して頻出語のクラスタ分析を行い、各期の基本
計画の変遷の可視化を報告した。第5期(現計画)では、「ビジネス」に関
係する語が頻出している指摘を行った。計画の根拠法である「科学技術基本
法」とクラスタ名との関係についてコメントがあった。河合(長崎大学)ら
は、平成27年に開始された防衛装備庁安全保障技術研究推進制度と大学の
対応についての考察を発表した。同制度への応募状況に大学の特徴や大学組
織の判断が影響していることや、これらに対する新たな概念「学術安全保障」
やアカデミック・ガバナンス、法務・危機管理部門の設置を提唱した。同制
度についていくつかの大学でも話題となり、具体的な事案となっていること
もフロアから指摘され、これから産学連携学会でも取り扱う課題との認識を
得るに至った。

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産学官連携プロジェクト5               座長 佐藤三郎
6月17日(金)第2日目C会場(14:45〜16:30)

 中田泰子(北陸先端大)らは、産学官金の連携による新製品・新事業の創
生を目的として、北陸地域を中心に日本全体を対象とした広域な産学連携・
産産連携イベントであり、人材育成までも視野に入れた『地域連動型イノベ
ーション創生システム』として、Matching HUB を提案し、今後も継続的に
開催していくと報告している。
 松本弘ら(ヤマハ発動機)は、静岡大学と包括連携協定を締結し、これま
で数々の産学連携プロジェクトを企画・実行し、産学連携活動の方針と活動
成果や課題を紹介すると共に、今後の産学連携に企業が期待することを述べ
ている。
 中村守彦(島根大)は、出雲地域の活性化を目的に、料理と神話物語を調
和させたコース料理『神話食』を提案し、商標登録したほか、神話食を通じ
た島根ならではのユニークな産学官の取り組みを紹介している。
 武部英輔(いわて産業振興センター)らは、「ワイヤレス給電研究会」に
よって自転車競技トレーニングシステムのワイヤレス給電機能付車軸装着セ
ンサの開発を行い、自転車競技のトレーニングにおいて大きな成果を得たと
報告している。
 金澤正男(帝京大)は、UHA 味覚糖株式会社との共同研究により商品化に
結びついた例として、アロマ成分複合体『DOMAC』 配合のオーラルケアキャ
ンディ(商品名:すっきり健口習慣)について、帝京大学の研究成果が商品化
へと結びついたプロセスを概説し、商品化がもたらした産学連携の効果を報
告した。
 木谷友哉(静岡大)は、自動二輪車に付随する車体の運動、走行する道路
環境、運転者の運転行動・移動軌跡、それらを情報収集し利活用するための
社会基盤を形成する二輪車情報学プロジェクトを提案し、静岡大学浜松キャ
ンパスを中心としたパブリックな高精度測位環境の構築について述べている。
 岩城隆雄(デンソー)らは、昨今のグローバル競争が進む中で、世界最先
端の技術をより迅速に手の内化する必要が生じ、種々の産学連携の取り組み
が開始または強化されてきたとして、国内の多数の大学と組織連携契約を締
結し、多くの共同研究を起動することができたほか、自社の研究者の間にも
積極的に大学と連携する風土が醸成できたと報告している。

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                               以上