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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第738号 <2016.10.14>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
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大会終了後の恒例の「座長報告」が始まりました。各講演の要点、セッショ
ンのまとめをこれより順次、会員の皆様にお届けいたします。

産学連携学会第14回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、座長報告(7)
−産学連携考察1                  座長 荒磯恒久
−社会人教育                    座長 山名一男

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産学連携考察1                   座長:荒磯恒久
6月17日(金)第2日目A会場(14:00〜15:00)

 「考察」のセッションとして、発表された4演題はユニークである。
 千寿知財企画の前田裕司氏は「地方創生における産学連携」をテーマとし、
四国TLO、北海道の旭山動物園、栃木県の温泉利用によるフグの養殖を取り
上げ、「地域の特性のみに頼らずに、サイエンスに基づく新しい視座」の重
要性を指摘した。
 京都大学の南良太氏は「人文社会科学系産学官連携」をテーマとし、2007
年から継続している「検討会」の成果である、事例集とその分類−研究系、
教育系、事業系、社会貢献系−を基盤として考察した。理工系では、技術シ
ーズを起点とするが、文系では「技術連携に先立つテーマ探索」での連携事
例が増加している。これらの解決には経済、心理、経営、哲学等の知識が有
用であり、その発展の必要性を主張した。
 光産業創成大学院大学・浜松ホトニクス鰍フ岡田晃行氏、江田英雄氏は
「営業と産学官連携の関係」を「製造」の産学連携と異なる視点で考察した。
先行文献から日本の営業を4類型(行動型、提案型、奉仕型、ワークショッ
プ型)に分け、営業における産学連携はワークショップ型に近く、双方の知
見の開示も含む「商品開発研究の場」を構築し新たな「価値創造」を推進す
る上で有意義であると結論した。
 京都リサーチパーク鰍フ木村千恵子氏は「Industrie 4.0 におけるアンイ
ンスティテュート」の紹介を行い、「アン」=「大学に接する」インスティ
テュートがドイツの産学連携で果たす役割を議論した。キャンパス内に立地
するが法的には独立で、数百名単位の各国からの研究者と、大学院生(プロ
ジェクト雇用)が研究に従事する。国策としての産業政策に柔軟に対応した
開発研究を行い、大学院生はプロジェクト終了後に@大学に戻る、A企業に
就職、Bベンチャーを起業する。
 本報告筆者は、日本の産学連携では商品開発研究が脆弱であると考える。
前半2題は開発研究の広範囲な視点、後半2題は開発研究の場の構築に係るも
のであり、いずれも今後の日本における産学連携が必要とするものを示して
いる。

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社会人教育                      座長 山名一男
6月17日(金)第2日目B会場(9:00〜10:30)

 当セッションでは、6件の発表があった。静岡大学の鈴木から、静岡大学
大学院における社会人MOT教育の報告があった。設置から10年を経過した
本コースの状況と地域企業の要望に沿う情報系や機械系分野との融合や博士
課程後期への接続可能性を含む今後の方針について説明があった。山形大学
の安部らから、産学連携による中小企業生産革新活動の成果に影響する初期
要因の分析について報告があった。シニアインストラクターのような地域リ
ソースを活用しての事業は、受け入れる側の企業と、受けいれられる側のイ
ンストラクター双方のマネジメントを事業主体が行うことで、成功確率を高
めること等を明らかにした。広島大学の川瀬から、EDGEひろしまアントレプ
レナーシッププログラムについて発表があった。本発表では社会人教育に有
効である経験学修、デザインシンキングの2つの教育的アプローチによって、
社会人受講生が認識した成長を、マインドセット、スキルセットの変容と活
用につながると報告した。盛岡広域振興局の佐藤らから、産学官民による学
習会と持続可能な社会をめざす人材育成について報告があった。産学官民連
携で取り組んできた「アイーナ夜学」や「だらすこ工房」という学習会を、
内発的発展論の視点で考察し、分析した事例を紹介した。東京海洋大の川名
らは、産学公民連携による市民教育の新たな展開について、ヨコハマ海洋市
民大学の事例から持続可能なシステムを考察した。光産業創成大学院大学の
江田と高谷は産業創生プロデューサー人材育成プログラムの構築について報
告した。浜松のようなモノづくり地域においては、「良いモノを作れば売れ
る」という神話が未だに信じられてしまう傾向があり、マーケティングとは
作ったものを売り歩くことではなく、企画段階から取り組むものである等の
人材育成事例を紹介した。これらの発表を通じて会場の参加者との間で活発
な討議が行われた。今後地域の活力を生み出すような更なる社会人教育の研
究発表がなされることを期待する。

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                               以上