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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第620号 <2015.11.4>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
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大会終了後の恒例の「座長報告」が始まりました。各講演の要点、セッショ
ンのまとめをこれより順次、会員の皆様にお届けいたします。

産学連携学会第13回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、ダイアローグセッション 座長報告(10)
  −リエゾンコーディネート1 座長:北村寿宏
  −リエゾンコーディネート2 座長:川崎一正
  −産学官連携の分析1    座長:能見利彦
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リエゾンコーディネート1 座長:北村寿宏
6月26日(金)第2日目C会場(13:30〜15:00)

本セッションでは、リエゾンコーディネートについての各種の方法や実例に
ついて6件の研究成果が発表された。金多は、組織対応型包括連携契約協定
について、その分類と利点・問題点について整理した結果を報告すると共に、
京都大学で取り組んでいる「学術指導契約」について紹介した。この手法は、
共同研究の課題を探索する場合に有効であるとしている。能見は、大学の技
術マーケティングのありかたについて産学のマッチングパターンのアンケー
ト結果から現状の問題点を指摘し、解決策として富士通(株)の取り組みを例
に出口戦略を考え中小企業と議論し具体的な出口まで提案する能動的な手法
が必要であることを述べた。平田らは、広島大学で取り組んでいる研究会を
活用した大学のシーズを実用化に結びつける手法についてレーザ応用技術を
例に紹介し、有効であることを述べた。升井は、研究者間の共同研究で必要
となる情報共有の手段として、クラウド技術を応用し、ユーザーに優しいシ
ステムモデルの提案を行った。このシステムは、既存のクラウドサービスを
活用し簡易に構築できることが特徴である。磯江らは、復興促進プログラム
として始められたマッチング促進について紹介し、マッチングプランナーが
企業のニーズを把握しそれと大学などとのシーズを結びつけていく手法が実
用化を促進する上で重要であることを指摘した。櫻間らは、復興促進プログ
ラムの成果の紹介を行い、1,141件の相談から288件の研究開発課題を実施し、
102社で272名の雇用増加につながったことを述べた。早期事業化を目的に、
企業のニーズの視点からマッチングプランナーが企業と大学とを結びつけた
ことが有効であったと指摘した。各地で様々なリエゾン、コーディネートが
行われており、その手法や実例を相互に知ること、その活性化のために重要
と考えられる。今後もこのような報告が継続して行われ、リエゾンやコーデ
ィネートが活発になり、成功事例が増えていくことを願いたい。
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リエゾンコーディネート2 座長:川崎一正
6月26日(金)第2日目C会場(15:15〜16:30)

リエゾンコーディネート2のセッションでは、5件の発表があった。京都大
学の南より、共同研究課題探索におけるテーマ探索型ワークショップの活用
事例から文理融合による産学連携の1つの指標となり得ること、産学連携コ
ーディネータが従来のマッチング業務を超えて、マネジメントやファシリテ
ーションに関与できる可能性が示唆された。北海道大学の荒磯より、創業を
目的とするネットワーク形成に関してのコア組織として、企業支援のための
会社とイノベーションマネージャー育成プログラムのネットワークが示され、
開催形態と成果の事例が報告された。神戸大学の開本より、学術論文への
IPC付与による産学連携の試みとして、企業および大学の共通の座標軸と3次
元球面表示を導入することが提案され、事例を用いることにより考察された。
高知工科大学の佐藤より、産学官連携を「異なる組織のネットワーク」と捉
え、ネットワーク理論に基づいて産学官連携コーディネート活動が俯瞰され、
その人材像について考察された。さらに、産学官連携プロセスにおけるコー
ディネータの機能と役割について、組織間関係論に基づいて分析された。こ
のセッションでは、様々な視点からリエゾンコーディネートの考察が行われ、
今後、産学連携活動を行っていく上で参考になる事例が示されたと考えてい
る。
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産学官連携の分析1 座長:能見利彦
6月26日(金)第2日目D会場(9:00〜9:45)

本セッションでは3件の発表があった。1件目の山口佳和の発表「科学技術基
本計画の記述における産学連携の位置付けの定量分析の試み」は、テキスト
マイニング手法を用いて、第1期から第4期の科学技術基本計画の頻出語88語
に対してクラスター分析及び双対尺度分析を行い、「産学連携」の語が「イ
ノベーション」「経済再生」と同じクラスターに属すること、このクラスタ
ーの登場割合が第4期計画で大幅に増加していること、第4期計画の特徴はこ
のクラスターに近いことを定量的に明らかにした。2件目の野田誠一の発表
「国立大学法人における産学官連携活動実績を駆動する要因」は、国立大学
の共同研究受入額を被説明変数とし、大学の研究力と潜在力、地域の産業力
と潜在力を説明変数として重回帰分析を行い、@国立大学全体では大規模大
学の特性の影響が強いが、大規模大学と中規模大学では説明変数が異なり、
大規模大学では大学の研究力の要因が強く、中規模大学では地域の産業力の
要因が強いことを明らかにした。3件目の千野昌彦の発表「産学連携の研究
開発テーマはこうして創られる 〜基礎研究成果からの作り込み〜」は、
JSTが実施している戦略的イノベーション創出推進プログラム(S-イノベ)に
おけるテーマの作り込みの過程を調査して、優れたシーズに基づいてプログ
ラムオフィサーが情熱を傾けて有識者と連携することなどで良いテーマの設
定が可能になるとの主張があった。3つの発表には、検討課題や分析方法な
どに違いはあったが、産学官連携の分析を深めるための活発な議論が行われ
た。
                                以上