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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第617号 <2015.10.30>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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大会終了後の恒例の「座長報告」が始まりました。各講演の要点、セッショ
ンのまとめをこれより順次、会員の皆様にお届けいたします。

産学連携学会第13回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、ダイアローグセッション 座長報告(9)
  −産学官連携プロジェクト3 座長:川名優孝
  −産学官連携プロジェクト4 座長:澤田芳郎
  −産学官連携プロジェクト5 座長:伊藤慎一
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産学官連携プロジェクト3 座長:川名優孝
6月26日(金)第2日目C会場(9:00〜10:00)

本セッションでは、産学官連携によるプロジェクトの取り組みについて4件
の報告があった。倉増らは、地域での6次産業化への展開を図るべく実施し
たワークショップなどの実例から、商品化、実用化に向けた手法について報
告した。三村らは、地域活性化を目指したコミュニティ活動の事例から都市
部における活性化への試みについて報告があった。湯本は、ある地域の病院
建て替え計画において地域で重要な拠点となる医療施設をどの様に活用、維
持していくのかを含めたプログラム開発を産学官共同で取り組むことの有用
性について報告があった。さらに湯本は、長期に渡り継続している産学連携、
知的財産に関する普及活動について、産学官の三者の多様な組み合わせによ
る展開の可能性について報告があった。
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産学官連携プロジェクト4 座長:澤田芳郎
6月26日(金)第2日目C会場(10:00〜10:45)

本セッションでは3件の発表が行われた。福重(阪南大学)らは患者視点か
らの医療サービス品質を評価する仮説モデルを提案し、試行結果を発表する
ものであった。CTと放射線治療を一体化した装置を導入したクリニックの
患者団体と当該クリニックの医師が、特に非標準治療をめぐる課題について
ディスカッションすることで効果を上げるという。これに対して石塚(高知
大学)ら、李(信州大学)は地域観光資源に着目するものであった。「歩き
お遍路」が心身に与える影響を採血、採尿による生化学的データ、心拍計、
活動度計の測定結果の分析を通して把握する石塚らに対して、李はユネスコ
エコパーク登録活動を展開する長野県木曽郡と全羅南道新安郡の自然資源と
社会運動の一端を比較した。いずれも地域資源の発見や確立を目指した取り
組みの検証であると言える。
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産学官連携プロジェクト5 座長:伊藤慎一
6月26日(金)第2日目C会場(10:45〜12:30)

本セッションでは、新技術であるスラリーアイスを活用した新装置開発、水
産、農業、地域連携の融合とイノベーションションに向けた7つの研究事例
についての報告があった。北村和之(株式会社泉井鐡工所)らは「生鮮食品
等の高衛生・鮮度維持に関する新たな冷却媒体生産システムの研究開発」に
ついて報告を行った。食品の安全・安心の向上につながる新規スラリーアイ
スの装置開発に取り組んでおり、次亜塩素酸水製造装置の大型化、海水から
高効率に次亜塩素酸水を製造するシステムの検証、スラリーアイスを連続し
て提供する「ダイレクト製氷方式」の構築を進めている。板谷茂(株式会社
コア電子)らは「生鮮食品等の高衛生・鮮度維持に関する新たな冷却媒体生
産システムの研究開発」について報告を行った。先のシステムにおける具体
的な開発内容、すなわち次亜塩素酸水の生成原理、スラリーアイス製造装置
の高度化、全体システムの最適設計の観点から産学官の連携体制を構築し、
研究開発を進めている。中越竜夫(株式会社中土佐町地域振興公社)らは
「中土佐町における水産業活性化の取り組みと新たな展開」について報告を
行った。高知県中土佐町で漁獲される魚介類の付加価値向上を目指して、ス
ラリーアイスを活用した高鮮度流通魚介類を「ぴんぴ」というブランド名で
展開する地域連携を進めている。白土満(釜石ヒカリフーズ株式会社)らは
「スラリーアイスを活用した三陸水産物のブランド化への取り組み」につい
て報告を行った。釜石市で水揚げされる、ウニ、アイナメ、ドンコなどの水
産品は現状の流通方法では地元で味わう範囲にとどまっている。新たな流圏
の確保を目的として、JST復興促進プログラムを活用し、高知工科大学の
スラリーアイス技術を活用した流通圏の確保と広域化を目指した研究を進め
ている。松本泰典(高知工科大学地域連携機構)らは「産官学連携による三
陸水産物の鮮度保持流通に関する取り組み」について報告を行った。高知工
科大学が保有する生鮮魚介類の冷却・保存に適する塩分濃度のスラリーアイ
ス生成技術を活用し、釜石市場に水揚げされたサバの適正な温度管理や鮮度
管理技術について研究を行い、地域活性を目指すとしている。山田美里(株
式会社中温)らは「雪温ボックスを用いたイチゴの日持ちの延長」について
報告を行った。スラリーアイスに浸漬している環境と同等の保持状況が得ら
れる雪温ボックスの開発を行い、地域産イチゴの日持ちの延長と高度化を行
うことで、地域活性の一助となるよう、実用化に向けた研究を進めている。
泰泉寺雄三(株式会社垣内)らは「懸濁決勝法による凍結濃縮システムの開
発」について報告を行った。食品中の水分のみを凍らせその氷を取り除いて
濃縮するいわゆる凍結濃縮法において、スラリーアイス製造装置の技術を活
用し効率的かつ高濃度での凍結濃縮が可能なシステムの開発を進めている。
これらの報告は「スラリーアイス」という革新的な技術シーズを中心に、食・
農・加工産業、地域活性など、地域創生につながるブランド向上に資する多
面的展開として地域力向上に希望が持てる。地域発新産業の創出を目指した
モデルケースとして、今後さらなる取り組みの向上に期待したい。
                                以上