―――――――――――――
■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
■■■■■ ―――――――――――――
■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
■■■■■ ―――――――――――――
■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第616号 <2015.10.28>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
会員の皆様への情報の配信をご希望の方は,news@j-sip.org
あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
バックナンバー:http://j-sip.org/mail_news.htm


[[[[ ヘッドライン ]]]]
―――――――――――――――――――――――――――――――――
大会終了後の恒例の「座長報告」が始まりました。各講演の要点、セッショ
ンのまとめをこれより順次、会員の皆様にお届けいたします。

産学連携学会第13回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、ダイアローグセッション 座長報告(8)
  −地域連携システム1    座長:林聖子
  −学金連携         座長:藤原貴典
  −地域連携システム2    座長:入野和朗
―――――――――――――――――――――――――――――――――
地域連携システム1  座長:林聖子
6月26日(金)第2日目B会場(11:15〜12:30)

本セッションでは、5件の発表があった。入野ら(愛媛大学)は愛媛県四国
中央市青年団より三皇神社鎮守の「棹の森」保存活動推進の植生調査依頼が
愛媛大学へあり、大学で考古学・森林学・地域おこしの専門家によるプロジ
ェクトチームを発足させ、「まちづくり活動」にまで発展させた活動を報告
した。荒磯(北海道大学)は一次産業のイノベーションについての議論が十
分でない現在、文部科学省の地域イノベーション戦略支援プログラムでの北
海道地域におけるイノベーションマネージャー育成事業で、公設試(農試・
水試)の研究者への講義から生まれた一次産業のイノベーションの考え方、
知財の活用法、新たな組織間連携について論じた。下山(釧路公立大学)は
釧路市における財政白書づくりと円車会議の取組事例から、財政・経済状況
を考慮した産学官民連携と地域政策のあり方について論じた。杉山ら(いわ
て産業振興センター他)は、いわて発高付加価値コバルト合金「COBARION
(R)」を含めた特殊合金新素材の製造とその加工産業によるクラスター形
成促進等を通しての地域の雇用創出に繋げるための厚生労働省プロジェクト
について紹介した。進藤(北見工業技術センター運営協会)は北見工業大学
等との産学連携プロジェクトを通して、北見地方における工業技術の研究開
発及び技術向上を図り、地場産業振興に寄与している取り組みを述べた。報
告された各地域連携システムの一層の効果的な継続による、地域振興への寄
与が期待される。
--------------------------------------------------------------------
学金連携  座長:藤原貴典
6月26日(金)第2日目B会場(13:30〜15:00)

本セッションでは6件の発表があった。まず、伊藤(秋田大学)は、地域金
融機関にリレーションシップ貸出の可能性をアンケート調査し、知的財産を
活用する融資の可能性を見いだしたが、現実には対応が困難であることを示
した。つぎに、高屋ら(山形大学)は、農林水産省認定案件を対象に農業の
6次産業化における障壁を調査し、発展段階毎に障壁があることを導き出し
た。事例分析では、金融機関のリソースをフルに活用できる人材が主導した
プロジェクトチームの活動が報告された。3番目に、武田ら(山形大学)は
大学の技術シーズを実用化するプロセスで、大学と米沢信金で組織した「経
営者塾」を母体に産学金連携コンソーシアムを組織しているが、金融機関の
知的資産に関する目利き力の課題が指摘された。4番目に、小野ら(山形大
学)は2009年に行った金融機関間の連携調査を定点観測するため、20
14年にアンケートを実施した。変化のあった点として、「大学職員との交
流「企業の将来性を評価できる職員の育成」が大きく伸張しており、5年間
での環境変化が反映されている。5番目に、川名ら(東京海洋大学他)が
「江戸っ子1号」開発プロジェクトを概説したが、成功のポイントは信金が
事務局を設け専従コーディネーターを配置したことと、海洋開発機構の資金
と支援である。なお、製品としてはまだ売上に繋がっていない。6番目は、
野村ら(広島大学)による広大と広島銀行による過去3件の共同研究に関す
る産学連携評価の報告であり、3社とも売上高や従業員数が全国平均よりも
大きく増加しており、産学連携による新事業創出が雇用創出にも寄与してい
ることを指摘した。なお、当セッションには約30名の参加があった。
--------------------------------------------------------------------
地域連携システム2  座長:入野和朗
6月26日(金)第2日目B会場(15:15〜16:30)

本セッションでは、昨今、問われている大学の社会貢献について、システム
あるいは組織にスポットを当てた発表がなされた。まず、高知工科大学・永
山氏からは、従来のような教員ではなく事務職員が中心となって産学連携を
実行する独自の仕組みや、実際の高知工科大学における研究シーズの社会実
装の事例について紹介された。北海道大学の須田氏からは大学の同窓会の持
つネットワークと熱意を活用した、企業研究部門の誘致活動について紹介さ
れた。鳥取大・清水氏からは、水産系学部の無い中で学・学連携を活用した
地元水産業への活動事例が報告された。小樽商科大学・後藤氏からは、経済
系の単科大学という特徴を活かした、地元の観光産業を結びつける活動事例
について紹介された。鳥取大・前波氏からは、大学と地域社会との間で生じ
る矛盾を解消するために鳥取大学独自で立ち上げた住民参加型の地域貢献組
織(Community-based Participatory Research)について紹介された。これ
らの発表を通じて、「大学の社会貢献」という地域社会のニーズに大学がど
のように応えられるか、というような活発な議論がなされ、そのヒントが得
られたように感じた。文科省地の拠点事業(COC, Center of community)
が実施される中、アカデミアと市井の間で様々な問題が生じてくると考えら
れるが、大学の更なる活躍に期待したい。
                                以上