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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第525号 <2014.12.18>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
会員の皆様への情報の配信をご希望の方は,news@j-sip.org
あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
バックナンバー:http://j-sip.org/mail_news.htm


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長らくお待たせをしておりました大会終了後の恒例の「座長報告」の後半部分に
つきまして、各講演の要点、セッションのまとめをこれより順次、会員の皆様に
お届けいたします。

産学連携学会第12回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、ダイアローグセッション 座長報告 (6)

−国際展開−             北海道大学産学連携本部 荒磯 恒久
−学金連携−             山梨大学        還田 隆
−学生の教育1−           富山大学        山名 一男

※大会のプログラムは次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/12th_2014/program5.pdf
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「国際展開」                   北海道大学 荒磯 恒久

国際展開のセッションを構成する発表は我が国の産学官連携の先端を行くもの
で、演題は3題であったが、展開の基礎となる広範囲な連携体制、さらに今後の
展開に向けて解決しなければならない大きな問題を提示し会場の議論も高レベル
のものとなった。
「日本企業による国際産学共同研究の動向」(鈴木真也:文科省学術政策研究
所)は国内の調査が多数を占める中で、あえて海外との共同研究を調査したもの
で今後の産学官連携研究調査の方向を示したものである。日本企業の研究者と海
外大学研究者との共著論文数は米国が8割と多数を占めるものの、近年中国との
共著が1割にまで増加し第2位の共同研究相手国になっていることが明らかにされた。
「植物遺伝資源へのアクセスにおけるAVRDC活用の可能性」(殿岡裕樹:山口大
学)では、生物多様性条約に派生した原産国の遺伝資源へのアクセスの困難性と
その解決策を議論し、AVRDC : Asian Vegetable Research and Development Center
を活用した多国籍システム構築の可能性について議論された。地球の生
態系を守る意義の重要性と、植物遺伝資源の人類への活用という二つの問題の共
生を、国際産学官連携においても常に意識しなければならないという主張は今
後、この分野における国際展開の鍵になることが理解された。
「民間提案型普及実証事業における学の参画 −防災・環境保全及び環境再生技
術の普及・実証試験(インドネシア)を事例として−」(清水谷卓、三浦房紀:山
口大学)はJICAを発注者、多機能フィルター鰍受注者とし山口大学が外部受託
者、大学学術交流協定に基づきウダナヤ大学をカウンターパートにする国際連携
によるインドネシアにおける事業が紹介された。国際産学連携として一つのモデ
ルを形成しているといえる。しかし、このような広範囲なモデル事業を独立採算
事業として継続する上での大学における深刻な問題も提示され、会場の文科省関
係者と突っ込んだ議論もなされた。文科省の制度上は継続可能であるが大学財政
上問題が生じる点で、文科省サイドの考え方と大学の実情との間にギャップがあ
ることが認識され、今後の展開に有意義な議論となった。

「学金連携」                     山梨大学 還田 隆

大学と金融機関の連携に関するセッションであって、4件の発表があった。4件
ともに山形大学との連携がベースとなったものであった。1件目の小野浩幸の発
表「各地域の産学金連携ネットワークの類型化の試み」は地域色が強く出る学金
連携に於いてグラフ理論によるグラフを利用して、各地域の連携を分類すると
いった挑戦的分析と言える。2件目は高屋聡の発表「地域金融機関の農商工連携
支援」であるが、農業の6次化における課題を金融の視点から分析している。人
材育成を目指す6次スクールの紹介があったが、農業の6次化支援やスクールは
他県でも行われていることから、対比的特徴抽出が期待される。3件目の櫻井宏
樹の発表「産学金連携における企業評価手法の考察」は、金融機関が保有する企
業の信用格付けデータに対して、重回帰分析を適用して企業の強みの見える化に
挑戦しているが、一つの試みとして追跡評価が期待される。4件目に発表した金
子信弘の「リエゾン活動の可視化に関する取組」であるが、個別の相談案件をど
のようにフォローしていったかという例示である。発表者自身からの説明の通
り、22年度から24年度の短期間の分析となっているのと個人分析に留まった
ので、今後の連続調査と他のコーディネータとの比較も期待される。
以上の通り、本年度は山形県での取り組み発表が中心であったが、小野浩幸の発
表にもあるように、全国で学金連携は多数実施されていることから、今後多くの
地域からの参加が望まれる。

「学生の教育1」                  富山大学 山名 一男

本セッションでは、4件の発表があった。まず、林等(芝浦工業大学)は、受
託・共同研究を通じた学生の成長を促す要因について研究を行い、学部学生に
とっては学んできた知識や技術を実社会で実践する機会を得ることができ、一方
大学院生にとっては実社会での問題解決力を養えるという報告をした。阿濱等
(山口大学)は1年生必須科目である知的財産教育に関して、学習者への質的分
析を用い、学習者の意識として、実社会での知的財産事例と学習者の現在生きて
いる社会との間に隔たりがあると感じているとした。李等(山口大学)は学習者
の知財教育に係る授業評価を行い、今後更なる能動的学習を促進させる工夫が必
要とした。木村等(山口大学)は教える立場から、学習者の学習段階や専門性を
考慮し、適切な順番で学習者に教えることが求められ、そのためには、学習者の
知的財産学習に係るレデイネスを把握することが必要であるとし、今回は1年生
と2年生で調査し、法解釈というような観念的要素の比率が高い分野では、より
高学年で学習することが望ましいとした。一般教養での知財教育は、緒に就いた
ばかりであり、更なる工夫や知恵を働かせた今後の取組みが期待される。

以上