―――――――――――――
■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
■■■■■ ―――――――――――――
■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
■■■■■ ―――――――――――――
■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第495号 <2014.9.30>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
会員の皆様への情報の配信をご希望の方は,news@j-sip.org
あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
バックナンバー:http://j-sip.org/mail_news.htm


[[[[ ヘッドライン ]]]]
―――――――――――――――――――――――――――――――――
大会終了後の恒例の「座長報告」が始まりました。各講演の要点、セッションの
まとめをこれより順次、会員の皆様にお届けいたします。

産学連携学会第12回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、ダイアローグセッション 座長報告 (3)

−産学官連携プロジェクト2−  香川大学   永冨 太一
−産学官連携プロジェクト3− 島根大学産学連携センター 丹生 晃隆
−産学官連携システム−    信州大学地域共同研究センター 松岡 浩仁

※大会のプログラムは次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/12th_2014/program5.pdf
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「産学官連携プロジェクト2」     香川大学   永冨 太一 
 金澤ら(日本大学)は、同大学歯学部の研究者が開発した歯科用CT装置の製品
化について、未踏領域での医療機器開発を大学の技術シーズを基に先導し、協働
する企業の国際競争力の確保と普及に向けた研究者自身による他機関への装置の
利用促進活動を行うなど、これまでに無い産学連携の成功事例を報告した。
 増山ら(信州大学)は、水資源の保全とエネルギー等への活用を推し進めるた
め、同大学の文理融合による組織体制の下でのプロジェクトをスタートさせ、地
表や地下の水利用について技術的な側面から法的側面、住民の意識調査までをも
大学主導で網羅的に把握し、今後の産学官連携活動に役立てる計画案を報告した。
 丹生ら(島根大学)は、新規な抵抗体材料の開発の成功に至るプロセスについ
て、JSTの新技術説明会でのマッチング活動を機に、優良な研究シーズと柔軟な
アイデアを基に研究開発資金の獲得へと繋がり、人材の育成による雇用創出にま
で発展したコーディネーター主導による産学連携の成果について報告した。

「産学官連携プロジェクト3」  島根大学産学連携センター 丹生 晃隆
本セッションでは、3件の発表があった。最初の2件の発表は、香川大学が中心
になって研究開発が行われている希少糖に関わる内容であった。香川大学では、
農学部の教員が数十年来にわたって希少糖の研究に取り組み、2000年代初頭に
は、生産理論を構築し、量産化に繋がる生産工程を確立した。希少糖のうち、血
糖の上昇抑制や抗動脈硬化作用等の効果が明らかになっているD-プシコースは、
液糖としての事業化が実現し、全国規模で販売がされている。また、抗酸化作用
が明らかになっているD-アロースについても、農薬や医薬品への応用研究が進め
られている。まず永冨ら(香川大学)は、国や香川県等の支援も受けながら行わ
れた、現在までの研究戦略と組織体制について考察を述べた。続いて発表した倉
増ら(香川大学)は、D-プシコースとD-アロースに関わる特許出願と権利化の状
況について、出願形態や出願分野等について分析を行った。本セッション3件目
の発表では、丸山(テクノ・インテグレーション)が、組織的な大規模産学連携
のプロジェクトとして、京都大学が大手企業と取り組んだ「セルロースナノファ
イバー」に関わる研究開発を取り上げ、自動車用の構造用プラスチック強化材と
して、研究開発が発展していった経緯とその背景を述べた。本セッションは、産
学官連携の「プロジェクト」の視点から、組織的な関わりや、現在までの発展や
継続の経緯を考察するものであり、多くの参加者にとって示唆に富むものであった。

「産学官連携システム」  信州大学地域共同研究センター 松岡 浩仁
本セッションは、今大会で初めて採用された「ダイアローグセッション」の最初
のセッションで、7件の発表があった。まず、丹生晃隆(島根大学)らは産学連
携のマッチングを、特許情報を活用して支援するためのテキストマイニング手法
を用いたツールについての報告を行った。内山大史(弘前大学)は全国都道府県
における国公私立大学の出願・登録件数および各県における大学の占める割合に
ついて調査し、特徴ある県、大学における知的財産出願動向について報告してい
る。吉用武史ら(高知大学)は、高知大学が構築している「高知大学インサイ
ド・コミュニティ・システム(KICS)」(大学COC事業)について報告し
ている。李素○(イ ソジョン、○はおんなへんに亭)は、韓国における大学の
評価基準について報告し、地域発展に関して大学が果たすべき役割について、人
材育成の面で実施されている事業等について報告している。喜多一(京都大学)
らは、長野県諏訪地域において、製造業に携わる地元の人々と、大学の研究者が、
産学連携の一つの形としてのシンクタンク「諏訪産業首席研究センター」を設立
し、活動していることについて報告した。荒磯恒久(北海道大学)は、前回大会
で報告した産学連携のスキームを「IDEAサイクル」名づけ、このサイクルの
初発について、主として米国やイタリアで見られる「スタートアップ主導型」と
北部ヨーロッパで見られる「ネットワーク主導型」に大別できることを報告して
いる。湯本長伯(日本大学)は、草の根イノベーションの実践事例として、九州
における大学・開物成務塾の中での商品開発研究について報告している。特に子
供服に注目し、ヨーロッパにおける動向を調査し、大変魅力的な商品分野である
と結論付けている。
本セッションは報告自体は個別的であったが、産学官連携のシステムが、知財の
活用といういわば学内の活動から、地域内での連携活動、さらに地域を超えた広
範囲な活動と、幅広い産学連携を支えていることが見て取れる。これからの産学
連携の広がりを期待させる報告であった。

以上