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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第490号 <2014.9.16>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
会員の皆様への情報の配信をご希望の方は,news@j-sip.org
あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
バックナンバー:http://j-sip.org/mail_news.htm


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大会終了後の恒例の「座長報告」が始まりました。各講演の要点、セッションの
まとめをこれより順次、会員の皆様にお届けいたします。

産学連携学会第12回大会
一般講演、オーガナイズドセッション、ダイアローグセッション 座長報告(1)

−産学官連携の分析1−            島根大学   北村 寿宏
−産学官連携の分析2−            大分大学   松尾 純廣
−コンプライアンス−             札幌医科大学 石埜 正穂

※大会のプログラムは次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/12th_2014/program5.pdf
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−産学官連携の分析1−            島根大学   北村 寿宏
6月25日(水)第1日目 A会場 (13:00〜15:00)

本セッションでは,産学連携の各種の分析について6件の研究成果が発表された。
 鞘師らは,北見工業大学における特許の公開情報をもとに類似する他大学との
比較を行い,寒冷地工学やその関連の特許の割合が多く,北見工業大学がこの分
野で強みを持っていることを報告した。内島らは,北見工業大学の15年間の共
同研究の件数を地域別で整理し分析した結果から,オホーツク圏の割合が高く継
続的に共同研究がなされていることから,地域に密着した活動がなされているこ
とを報告した。野田は,共同研究における研究費受入額と科研費や論文数,研究
者数,県民所得などとの相関を分析し,大学の規模別に整理し,科研費や論文数
と比較的強い相関が見られることを報告した.松浦らは,滋賀医科大学の産学官
連携の現状を明らかにするために,共同研究の件数,特許出願,実施料収入など
の実績を他の単科医科大学と比較すると共に,学内の聞き取り調査を行い,今
後,産学連携活動を改善していく必要性を報告した。還田らは,山梨大学におけ
る産学連携組織の変更について類似する大学の組織と比較しながら報告し,客員
社会連携コーディネータとその有効性について報告した。網中らは,医学系産学
連携評価制度にとそれに基づく大学制度改革について説明し,当該大学の強みと
してのMTAの強化や弱みであったコンサルティング契約の整備などの改革につい
て報告した。
 産学連携の様々なデータを用いて,整理・分析し現状を明らかにし,それを元
に産学連携活動の改善や組織改革などに取り組んでいることが進んでいることが
実感できたセッションであった。
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−産学官連携の分析2−            大分大学   松尾 純廣
6月25日(水)第1日目 A会場 (15:20〜17:00)
本セッションでは、産学官連携と企業の事業創出に関する4件の報告があった。
 大西雄司(潟Cノベーション・スプラウト)「状況基盤アプローチに基づく新
顧客の発見 第4報」近年の企業の経営課題である「コモディティ化」に対する
イノベーションの方法として、「新顧客」の発見とそれに適合した技術開発につ
いて論じた。「新顧客」とは、従来の商品では「用」が足りていない顧客の意と
理解した。そうした顧客を見出すためには、「状況基盤アプローチ」が必要であ
るという。すなわち、社会・文化の変化という脈絡のなかで顧客を発見する方法
であるとする。
 能見利彦(経済産業省)「中小企業のダイナミック・ケイパビリティと産学連
携」いわゆるダイナミック・ケイパビリティ論をベースに中小企業の産学連携に
ついて論じた。ダイナミック・ケイパビリティとは「内部・外部のコンピタンス
の統合・構築・再配置を実行し、急速な環境変化に対処する能力」であるとす
る。そうした能力を中小企業が産学連携において用いることにより、競争優位に
つながる企業の経営能力を高めるとする。
 林聖子(一般財団法人日本立地センター)・田辺孝二(東京工業大学)「公設
試における中小企業の事業化支援について」近年の公設試が、予算・人員の削減
という状況の中で、従来業務に加えて地域の中小企業のイノベーション創出=事
業化支援を行っていることを、事例を通じて論じた。公設試の研究員が専門知と
事業化知を同時に提供し起業の技術者を育成することにより、また、企業連携の
コーディネートを行うことにより、事業化の実現に貢献しているとする。
 後藤英之(小樽商科大学)「北海道における6次産業化の現状と産学連携に関
する考察」北海道における事例に基づき、6次産業化の事業化上の問題点と産学
連携によるその克服方法について論じた。事業化上の問題点(資金調達力、マー
ケティング力、商品化工力、販路開拓力、リーダーシップ力)に対して従来のサ
ポートシステムも専門的課題対応力、専門家間の情報共有と連携などにについて
問題があり、事業化に制約がある。しかし、研究者と専門家からなるコーディ
ネーターの支援チームを構成し情報の共有化を図りながらサポートを行うことで
事業化の進展が可能となるとする。

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−コンプライアンス−             札幌医科大学 石埜 正穂
6月25日(水)第1日目 B会場 (13:00〜13:40)

 本セッションでは、2件の発表があった。まず、新谷ら(筑波大学)は、「米
国を中心とした大学における利益相反マネジメント(組織としての利益相反を含
む)の現状」というタイトルで、英タイムズの発行する “Times Higher
Education”で発表された「世界大学ランキング2012-2013」の上位10 大学がWeb
上で公開している利益相反マネジメント情報について、組織としての利益相反マ
ネジメントを調査するとともに、個人としての利益相反マネジメントについても
金銭的利害関係の自己申告の概要やマネジメント委員会などのポイントを調査し
報告した。
 飯田(東京医科歯科大学)は、「臨床研究における利益相反マネジメント」と
いうタイトルで、アカデミにおける医療イノベーションの創出活動を適正に実施
するための利益相反マネジメントの在り方にフォーカスし、新しく成立する各種
ガイドラインについて検証した。現在日本ではアカデミア(学会等を含む)や政
府によって利益相反マネジメントの在り方に関する検討が重ねられており、今後
一層の調査・研究および経験の蓄積・共有が必要とされる。
                                  以上