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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第394号 <2013.8.23>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
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大会終了後の恒例の「座長報告」が始まりました。各講演の要点、セッションの
まとめをこれより順次、会員の皆様にお届けいたします。

産学連携学会第11回大会
一般講演&オーガナイズドセッション 座長報告 (12)

−事業化事例1−          経済産業省       能見 利彦
−事業化事例2−          株式会社ウェザーコック 山本 一枝
−事業化事例3−          宇都宮大学       桑江 良昇

※大会のプログラムは次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/11th_2013/program3.pdf
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−事業化事例1−                 経済産業省 能見 利彦
6月21日(金)第2日目 D会場 (13:00〜13:45)

本セッションでは、3件の発表があった。まず、北村和之ら(株式会社泉井鐵工
所)は、船舶用機械メーカーである同社が高知工科大学などとの連携で、鮮魚を
冷却保存するためのスラリーアイス(粒度が極めて細かな氷)を製造する新型の
装置を開発したことを報告した。従来の装置(外国製)は、2%以上の濃度の塩
水から氷を作るために、魚介類の凍結温度を下回って傷みの原因となるが、濃度
1%の塩水を凍らすことにより氷温度をマイナス1℃として問題を解決し、新装置
は実用化されて、同社の新規事業となった。三宅憲司ら(山口大学)は、1996年
に創業したボールセミコンダクター社が球状半導体の事業化を目指して産学連携
による研究開発を行った事例を報告した。同社は、量産を目指して、必要な各工
程の生産技術を研究開発したが、1つの工程の生産スピードが遅いにも係わらず、
量産とのビジネスモデルを変更できずに失敗しており、同発表はその教訓を説明
した。また、同じく三宅憲司ら(山口大学)は、半導体生産でウエハのサイズを
1000分の1(0.5インチ)とすることにより少ロットの半導体を効率的に生産する
技術を産学官で開発する国家プロジェクト(ミニマルファブ)を紹介し、その参
加メンバー(66企業、6大学、5公的機関)へのアンケート結果を報告した。メン
バーには中小企業が多く、新ビジネスを求めており、メンバー間のシナジーも期
待されているなどのアンケート結果が出ており、詳細な分析は今後行われること
が報告された。
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−事業化事例2−           株式会社ウェザーコック 山本 一枝
6月21日(金)第2日目 D会場 (13:45〜14:30)

本セッションでは、九州大学大学院・開物成務塾の実践の事例2件の報告と、経
済産業省の1件の事例報告があった。開物成務塾は本学会初代会長の九州大学大
学院湯本教授が創設した、ホームドクターとして具体的ニーズに合わせて行う実
践ワークショップによって地域中小企業が事業の質の向上を図っている事例であ
る。(有)ニッコーネットの古川淳一らの発表では、使いやすく安価なホームペ
ージサービスをメンバーの企業との協力体制によって構築し情報発信・販促に寄
与している事例報告があった。社名をサービス名に変更した株式会社ミルテック
ジャパンの小橋洋治の経過報告では、TVなどで取り上げられ、福岡県住宅供給
公社に採用された経緯を発表した。会場からは、大学の科学的な試験データ等で
販売力の向上に繋げることが出来るとの有用な助言があった。
経済産業省の能見俊彦からは、エリオニクス社の大学の測定装置改良ニーズをと
らえた開発事例、鬼塚硝子社の匠の技で東大ロケット研究者糸川教授の実験装置
を製作し信頼関係を築いている事例、ベンチャー企業アステム社が、日本医大、
北大、日大、北里大、東京医大など医学部に納入し良い関係が続いている事例、
オータマ社が、超軽量超高性能磁気シールドルーム開発で九大と特許取得後海外
大学納品に至った事例、サムコ社の京大と共同でアモルファスシリコン用プラズ
マ反応器を開発、阪大、東工大に納品した事例報告があった。これらの事例から
能見は、海外製品が主流の大学研究機器の高性能日本製品化というニーズを見出
した。リードユーザーの役割を大学が担うこのモデルは、小ロット多品種を得意
としている高い独自技術を有する日本の中小企業と、独自の測定・分析・実験装
置を必要とする大学との技術循環モデルである。大学発ベンチャー創業や中小企
業のイノベーションに有効性の高いモデルとして興味深い発表であった。
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−事業化事例3−                 宇都宮大学 桑江 良昇
6月21日(金)第2日目 D会場 (15:45〜16:30)

本セッションでは3件の発表があった。亀井(味の素)らは、味の素と岩手大学
晶析グループとの共同研究によりアミノ酸の結晶化による精製分離プロセスの現
象を解明し、それに基づきプロセス設計を行うことができたと述べた。鈴木(い
わて産業振興センター)らは、いわて発コバルト合金の産学官連携による16年
間にわたる開発史を紹介し、現在、医療用および一般産業用として実用化されて
いると述べた。清水(岩手大学)らは、丸善製薬と岩手大学晶析グループとの共
同研究によりグリチルリチン酸モノアンモニウムの高純度化に関する基礎的デー
タを取得し、晶析プロセスを提案することができたと述べた。3件のうち、1件
目と3件目は産のニーズに対して学が強みである基礎・基盤力を用いて応えた実
例である。また2件目は、学のシーズを元に産学官が結集して製品化に結実した
事例である。いずれもわが国の産学連携にとって有用な参考となる。
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                                  以上