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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第384号 <2013.7.31>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
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大会終了後の恒例の「座長報告」が始まりました。各講演の要点、セッションの
まとめをこれより順次、会員の皆様にお届けいたします。

産学連携学会第11回大会
一般講演&オーガナイズドセッション 座長報告(4)

−産学連携の分析1− 日本立地センター 林 聖子
−産学連携の分析2− 日本大学大学院  湯本 長伯
−産学連携論−    小樽商科大学   澤田 芳郎

※大会のプログラムは次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/11th_2013/program3.pdf

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−産学連携の分析1− 日本立地センター 林 聖子
6月20日(木)第1日目 B会場(10:00〜11:00)

本セッションでは、4件の発表があった。まず、北村(島根大学)は共同研究実
績の推移からみる島根大学の産学連携の現状について平成15年度から平成23年度
を分析し、平成21年度以降は共同研究件数と研究費受入額が共に増加傾向にある
こと等を報告した。鞘師ら(北見工業大学)は北見工業大学における15年間の共
同研究データを解析し、機関が取り組み共同研究から見える産学官連携(第1報)
を発表した。藤原ら(岡山大学)は全国80大学の共同研究実績に関する公開デー
タで動向把握はできるが、詳細な情報把握は難しいため、発表者らが所属する4
大学を例にとり、共同研究の受入金額が分布する様子をモデル化し、地方国立大
学における共同研究実績の評価法を提案した。酒井ら(独立行政法人科学技術振
興機構)は産学連携マッチングイベント「新技術説明会」におけるマッチング状
況、事業の課題と今後の取り組み等を報告した。いずれも、産学連携による共同
研究実績の分析、分析からの評価法の提案、マッチングの状況等が論じられ、経
年変化を踏まえた考察や提案がなされ、今後、さらなる経年状況分析や新たな提
案等が期待される。
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−産学連携の分析2− 日本大学大学院 湯本 長伯
6月20日(木)第1日目 B会場(11:00〜12:00)

産学連携という事象を対象に分析・考察し、現実の活動に何か資するものを得
ようとする研究の発表4題である。木村・静岡大は、簡単なモデルを構築しエー
ジェントとして動かしてみることで、現実事象の構造を推し量ろうとするシミュ
レーション研究である。こうした研究では、結果がどのくらい現実と合致したか
から、モデルの妥当性を導こうとするが、CDの交渉力等、説明のために置いた
要因の評価尺度を説明する、もう一つのモデル構築をした方が良い。交渉力を3
回交渉すれば成立するという能力等で置いて行くと、モデル自体がトートロジー
になりかねないからである。今回は原始モデルと考えれば、今後の展開に期待し
たい。
野田・岐阜大は、産学官連携活動実績と説明要員に関する継続研究として、今
回は医学部を有することの効果を分析している。大学の評価や地域貢献等に対し
て、医学部を有することの重みは大だが、同地域の統合されていない大学の総和
を取っても、医学部を有する大学に及ばないという分析をしている。当然ながら
相乗効果はあろうが、しかし仔細に見れば医学部の何がどう効いているのかは、
今後の展開であろう。また同様に、教員一人当たりの研究費の貢献度について次
報で分析しているが、先ず「研究費」の実際的な大きさ(可処分所得?)につい
てはなかなか分からないこと、また研究分野によって使途による違いが大きいな
ど、単純分析の限界を先に明らかにしておく必要があろう。しかしいずれにせよ、
工学系中心であった産学連携も変化が必要であるし、また学々連携・産々連携の
効果も大きく期待されるので、引き続き地道な研究を期待したい。
伊藤・JSTは、予稿集・会議録データベースを用いて、産学官連携活動を分
析している。これらのDBの資料化率は6割近いとのことで、これも含めてJS
Tの保有するDB資源は貴重であり、また産学官連携活動に様々ない資すること
が期待される。ここでは共著関係から様々な連携の型式を探っているが、予稿集
DBと会議録DBは若干性格も異なるので、単なるDBからの数量的分析だけで
なく、背景分析とセットで研究を進めて戴くと、大いに役立とう。同時に、大学・
産業界双方への、JST・DBの宣伝もお願いしたい。
このセッションにあるような、産学官連携活動の事象総体を対象にした考察・
構造分析は、これまでの蓄積を更に活かすためにも、もっと行われることを今後
に期待したい。
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−産学連携論−     小樽商科大学   澤田 芳郎
6月20日(木) 第1日目 B会場 (13:00〜14:15)

 「産学連携論」セッションでは初代、二代産学連携学会長の3件を含む計5件
の発表が行われた。湯本長伯「産学連携・知的財産活動成果反映の新しい方向性
検討としての『産学連携まちづくり研究会』について」は数年来のシリーズ発表
の第4回で、イノベーション創出に必要な多様で魅力的なデザインの受け皿とし
て「まちづくり」を位置づけ、また主催する研究会の活動を紹介するものであっ
た。荒磯恒久「構造と機能から見た産学官連携の体系的把握」「欧米の体系と比
較したわが国の産学官連携の特徴」は最近の視察をふまえて日米欧比較を試み、
基本スキームとして「IDSCサイクル」を提案したうえで、@わが国の「基礎
研究→起業→企業への結合」体制はアメリカ型に近いが、起業を促すシステムが
貧弱で十分機能しているとは言えない、Aヨーロッパでこれを補っているのは政
府系研究機関による開発だが、日本はこれも不十分であるとし、B日本では「プ
ロジェクトマネージャー」「ジェネラルコーディネータ」人材の育成およびそれ
らの人々が活躍できる制度を充実させることを提唱した。
 山口佳和「CSR報告書に見られる日本企業の研究開発、産学連携に関する一
考察」は多数のCSR報告書を分析し、それらに当該企業の研究開発や産学連携
が記載されているケースがあることを指摘して、同報告書の分析が産学連携学の
研究手法となりうることを示した。齋藤保男「大学の知的資産マネジメントに関
する試論」は先行研究にさかのぼって「知的資産」の概念を固めたうえ、発表者
が所属する東京工芸大学におけるプロジェクト事例を分析して、大学の知的資産
マネジメントの方向性を示唆した。
 以上のように本セッションは実践を展望し、現場のための「産学連携論」を発
表する場として、有意義なものとなった。
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                                  以上