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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第313号 <2012.8.6>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
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産学連携学会第10回大会 
一般講演&オーガナイズドセッション 座長報告(10)

−知的財産1− 九州大学 湯本長伯
−知的財産2− 香川大学 倉増敬三郎
−知的財産3− 北海道大学 荒磯恒久

※大会のプログラムは、次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/10th_2012/program3.pdf
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−知的財産1− 九州大学 湯本長伯
6月14日(木) 第1日目 D会場 (15:15〜16:30)

新谷・筑波大学)科学技術政策の観点からみた特許法の試験・研究について
特許法69条1項「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実
施には及ばない」とあり、もともと特許に係る生産、使用、譲渡等を目的と
するものでなく、……及ぼしめることは却って技術の進歩を阻害することに
なる…といった理由を持つ。しかしそれがどこまでの範囲かということにつ
いては、「目的」「対象」両面において必ずしも自明ではなく、また様々な
考え方も現れて来ているので、再検討する。例えばジェネリック薬品に関す
る特許権侵害係争案件について。新規性を争う係争が多い。知的財産権の原
理に基づいて、特許権の範囲をどこまで考えるかという問題提起になる。特
許権侵害を理由に研究を止める×本来的な学問の自由をどう考えるか。侵害
行為は研究を含むか? 現状では研究活動も特許権の制限を受ける?現状で
はやや過剰な独占権からもう少し発展的な設定を考えるべきではないか?
結論としては、「大学における科学・技術の基礎及び応用研究であって、成
果が論文等として広く共有されるもの」は69条1項の該当研究であり、特許
権の効力が及ばないとするのが妥当と言える。ただ全てをこの条項で解釈す
るのは無理な現状で、現行の改定や新たな立法措置も考えるべきである。
<質疑>:加藤(特許庁)有体物等の研究ツールを購入して研究=特許権侵
害。但し、そうしたツールを自作して研究=直ちに侵害ではないと思われる。
研究成果になってからロイヤリティ等で対応することも…対応は色々あるは
ずである。
>座長:知的財産権の原理=創造者の権利×使いたい・発展させたい社会の
権利+期限付きの独占権許可=社会全体の創造性充実、という原理から見て、
特許権=独占権を余り大きく見てしまうのは、本末転倒ではないか?

三好・国立遺伝学研究所)大学等の研究機関における名古屋議定書対応に関
する課題分析と体制構築
2010名古屋議定書〜2002ボンガイドライン〜1993生物多様性条約(Cop10)
遺伝資源の取得・利用について問題提起。実効性はこれからで、アクセスの
円滑化、利益配分等々を考える必要がある。例えば、八角(漢方薬)=タミ
フルの原料、ツルニチニチソウ(マダガスカル)=抗癌剤、ケニア塩湖のバ
クテリア=多くの適用可能性、等々に問題ありそうか?
<質疑>座長:批准国(セボン、セイシュル、ルワンダ、ヨルダン等)は生
物資源国が多い?
=生物資源国の資源を守る必要もある。ルールを持つことが必要。そもそも
生物資源の概念は広い。例えばその資源の由来の同定などをどう考えるか?
また裁判事例or制度の中での取り組みも知りたいところである。大学が取る
べき対応 @法的拘束あり A国内法のある国 次のCop11では多国配分も
グスタフ(広島大)>時間不足により懇親会等、後刻に個別に質問して戴く
 
鈴木・国立遺伝学研究所1)生物多様性条約の各国に対する状況と産学連携
への影響
各国状況と産学連携への影響 →国内法は未定状態 
@スイス科学アカデミー:永年、非営利のABSについて研究している
遺伝資源のみでは特許は出さないルール
AドイツDFG:研究ガイドライン出している
Bスミソニアン博物館:NIH(国立衛生研究所)遺伝子資源 
→産学連携の可能性を含めた契約をしている=「保全」「非営利」「非営利
+営利」3分して扱う。
  <質疑>時間切れで無し

鈴木・国立遺伝学研究所2)米国のMTAに関する対応について
マテリアル(研究成果有体物)米国MTA1980〜フォーマット未定着
AUTM、UBユニバーサルバイオロジカルMTA、SLA、等々、MTA
を廃止して統一へ?
キャシー・クーVSハーシー
キャシー:人由来でなく素性がないものは、MTA止めよう、UBMTAor
SLAを使用
ハーシー:統一しよう。ガイドライン作成=新規物質は制限しない、その他
は自由にする
但し論文の写しを求める等々の制限なしとする
UBMATの改良(包括書)+実行書に(実験目的を)記述、多くの差異の
分析要
MTAアンケートを今後実施したい
  <質疑>時間切れで無し
 
加藤・特許庁)デザイン産学連携の多様性を踏まえた契約の在り方に関する
研究報告
デザイン産学連携に関するプロジェクト(H22,H23)の報告である。
H22=知財研究推進事業(大学発デザインの産学連携…
H23=デザイン産学連携の多様性を踏まえた契約の在り方に関する研究
デザインを扱っているのは日米ともTLOが多い。但し日本は他にも分散し
ている実態。
実態を知ると共に、7通りの契約ひな形を得た。
>座長:先ずはデザイン知財権の多様性を指摘したい。色々な角度から見る
必要あり
Ex.産学連携学会の商標の一部である「プロメテウスの火」は商標登録し
たが、後年、学会に商標を譲渡した。しかし商標は譲渡しても、もう一つ著
作権もある。著作者としては譲渡は出来ず侵害されてならない権利として
「同一性保持権」もある。今回の大会では、事前承認無しで色々な使い方が
されているが、本来は事前承認を求めるべきである。マイナーチェンジなら
事後承認、あるいは不要な場合もあるが…我が国では、知的財産権のうちの
形象関係知財に関する理解が低いように思われる。
デザイン知財としては、その都度、定義が必要になると思われる。
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−知的財産2− 香川大学 倉増敬三郎
6月15日(金) 第2日目 C会場 (13:00〜13:45)

本セッションでは、3件の発表があった。まず、上原健一ら(筑波大学)は、
大学の知財出願にかかる経費の増加の問題、不実施料の請求等についての企
業側からの不満、国内偏重の出願による問題点を抽出し、今後の大学の知的
財産出願戦略の方向性を述べた。金澤良弘(日本大学)は、大学と企業との
共同出願特許に関して、審査請求率、特許査定率、審判請求率や出願に対す
る権利化比率等について大学単独出願との比較を行い、共同出願に対する問
題点を指摘するとともに今後の取り組み方について提案があった。狩野幹人
ら(三重大学、信州大学)は、大学で開発した触媒技術を対象として、権利
行使可能な知財化についての検討と、スムーズに技術移転をすすめる場合に
どのような技術移転スキームとすべきかを議論し、2つのスキームでの実施
を開始した段階であることを発表した。今後、この実践結果についての成果
発表が望まれる。
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−知的財産3− 北海道大学 荒磯恒久
6月15日(金) 第2日目 C会場 (13:45〜14:30)

◆本セッションに共通する課題認識
国立大学の法人化以後、教員等の職務発明の権利は機関帰属となった。現状
では権利譲渡や実施許諾等による収入では大学が負担する知財関連経費をカ
バーすることは困難であり、知的財産のより効率的な活用法が求められてい
る。
◆具体的な活用事例
 鳥取大:分析の結果、知財権の取得は共同研究や特に受託研究の受け入れ
額に反映することがわかり、ライセンス以外の評価基準の設定や戦略的技術
移転活動を図る。
 香川大:出願案件の個別精査、ポートフォリオ作成、推進案件に関しては
積極的に外国出願や展示会出展等による積極的な移転活動、活用性不明の案
件は出願審査請求までの判断により効率的な活用を進める。
 山形大:良好な案件は大学が特許出願と権利取得を行い、研究者が実用化
を主体的に希望する場合はその活用権限を研究者に委ねる。
◆課題に対応する姿勢
 法人化直後の「機関帰属・ライセンス収入・研究への還元」という固定的
スキームから、大学や地域の実情を考慮した柔軟な知財活用への転換への流
れが見られる。
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                               以上