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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第311号 <2012.8.3>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
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産学連携学会第10回大会 
一般講演&オーガナイズドセッション 座長報告(9)

−産学連携論1− 小樽商科大学 澤田芳郎
−産学連携論2− 和歌山大学 河崎昌之
−産学連携論3− 岐阜大学 野田誠一

※大会のプログラムは、次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/10th_2012/program3.pdf
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−産学連携論1−    小樽商科大学 澤田芳郎
6月14日(木) 第1日目 C会場 (14:00〜15:15)

「産学連携論1」セッションでは初代、二代および四代(現)産学連携学会
長の四件を含む計五件の発表が行われた。湯本長伯「産学連携・知的財産6
段階論」は発表者の長い経験をふまえた産学連携史観の表明で、それをふま
えた同「産学連携・知的財産を基盤とするイノベーション・リテラシーを学
術分野として確立する方法論について」では、「知」はイノベーション創出
の方法論を伴ったそれでなければならないとして、これが「リテラシー」と
定義された。荒磯恒久「産学連携におけるコーディネーションの要素」は、
産学連携制度の分析に基づくコーディネータ論で、商品アイデアの着想から
販売に至る一連のプロセスを一貫して俯瞰し、適切な指導・助言を行う「コ
ーディネーションマネージャー」の概念ならびにそれに必要な知識を提起す
るものであった。
 伊藤正実「中小企業対象の共同研究における制約条件について」は、@セ
クターが異なる者同志が連携することへの理解、A共同研究課題が大学向け
に整理されていること、B大学の活動が理解されていること、C窓口部署の
体制の4点を成功の要件として指摘した。内島典子・高橋宏和・鞘師守「大
学のさらなる社会貢献に向けたアウトリーチのあり方〜開発した手法とその
有効性〜(第2報)」は、大学アウトリーチを研究室の「活動そのもの」と
「情報発信」のギャップの観点から確認するスキームを提案し、また分析結
果を紹介したものであった。
 本セッションはセョション名にふさわしく、実践を展望した「産学連携論」
の場となった。
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−産学連携論2− 和歌山大学 河崎昌之
6月15日(金) 第2日目 D会場 (14:15〜15:30)

木村(静岡大学)が発表した二報は、それぞれ別アプローチ、別演題ではあ
ったが、共にコーディネートを中心とした共同研究についての論考であった。
第一報(関・木村連名)では、共同研究進捗・成果等について学内外で相反
した評価項目が見られる等、詳細な事例分析を通じた興味深い内容が見られ
た。また第二報においては事例を離れ、コーディネート活動のモデリングと
シミュレーションという、当該分野では比較的新しい手法により抽出された
課題、論点を紹介した。細野・中山(文部科学省科学技術政策研究所)は、
特許公報を用い、産学連携活動の実態を把握する手法構築に向けた試行を報
告した。講演後の活発な討議は、産学連携を捉える新たな視点確立への期待
とも思われた。野田(岐阜大学)は、都道府県別製品出荷額と共同研究費と
の相関に着目し、産学連携を論じた。既存の国立大学法人の区分に加え、野
田自身の着眼点からの分析により、幾つかの統計的仮説が得られている。今
後実績によるそれらの検証が待たれる。鞘師・内島・月山(北見工業大学)
は、所属組織における産学連携活動の広報に関する評価に取り組んだ。質的
内容の定量化と計数から、大学を特徴づける未利用コンテンツの発掘等、広
報上の新たな質的課題を発掘している。以上五報による、事例報告から歩を
進めた観のあるセッションに、今後の学会活動の展開を予感した。
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−産学連携論3− 岐阜大学 野田誠一
6月15日(金) 第2日目 D会場 (15:30〜16:15)

本セッションでは、3件の発表があった。まず、伊藤ら(秋田大学)は、
「地域の中規模大学を例とした若手教員の産学連携活動の支援とその手段」
と題して、若手研究者が産学連携に取り組むときの課題を整理し、その支援
体制の類型化を述べた。地域の中規模大学の取り組みとして興味深い。大塚
ら(JST)及び大垣(茨城県)は、「JSTイノベーションプラザ・サテ
ライト事業における地域科学技術投資に関する考察」と題して、プラザ、サ
テライトが取り組んできたシーズ発掘試験、育成研究に関して、地域性や経
済効果分析、都市部との比較等を報告した。この種の分析は重要だが、プラ
ザ、サテライトの廃止によって時間軸で見た効果の検証が難しくなることが
指摘された。なお、発表は都合により二階堂(JST)が行った。河崎(和歌
山大学)は、「〈一般書籍等〉からみる産学連携」と題して、昨年までの
『産学連携学』の掲載論文の引用文献を分析して産学連携を捉える試みを報
告した。一般書籍約150件について被引用頻度、和洋等の分析を報告した。
これらは、それぞれ異なった方向からの産学連携の分析であり、この種の活
動の蓄積により産学連携活動全体の発展が期待される。
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                               以上