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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第310号 <2012.8.1>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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産学連携学会第10回大会 
一般講演&オーガナイズドセッション 座長報告(8)

−産学官連携政策− 筑波大学 新谷由紀子
−産学官連携プロジェクト1− 日本立地センター 林聖子
−産学官連携プロジェクト2− 静岡大学 木村雅和

※大会のプログラムは、次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/10th_2012/program3.pdf
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−産学官連携政策− 筑波大学 新谷由紀子
6月14日(木) 第1日目 D会場 (14:00〜15:15)

本セッションでは、5 件の発表があった。まず、岐阜県からの受託事業とし
て「産官学連携ビジネスチャンス創出事業」を実施した岐阜大学の発表が2
件あり、野田らからは、交流会や産学官連携の成功事例の発表、調査研究等、
事業概要の説明があった。創出事業のうち企業ニーズの発掘のために約150
社の企業訪問を行った結果発表が山田らからあり、共同研究の成約等の実績
も出ているとの報告があった。馬場ら(岐阜大学)からは、経済産業省委託
事業である戦略的基盤技術高度化支援事業の事業管理業務に試行的に取組ん
だ結果の報告があった。前波(鳥取大学)からは、(独)科学技術振興機構
の「地域イノベーション創出総合支援事業」のうち「地域ニーズ即応型」を
事例として、各都道府県公設試等を中心とした中小企業の産学官連携状況の
地域差に関する重回帰分析の結果報告があった。林((財)日本立地センタ
ー)らからは、中小企業のイノベーション創出の観点から、各都道府県の公
設試について、従来からの技術支援機能だけでなく、研究開発機能はもちろ
んのことマーケティング機能や販路開拓機能等まで提供する機能の拡充が必
要であるという考え方が示された。これらの発表はいずれも、地域の経済活
性化のために大学や公設試などが果たすべき役割の重要性と方向性を示唆す
るものであり、今後の取組みの深化が期待される。
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−産学官連携プロジェクト1− 日本立地センター 林聖子
6月15日(金) 第2日目 C会場 (9:30〜10:45)

本セッションでは5 件の発表があった。まず、市川ら(高知大)は高齢化等
により厳しい状況にある高知県大豊町N集落へ、高知大教員や学生がブルー
ベリー等果樹栽培や商品化・販売等で関与し、住民の自立的な取組を引き出
す等の高知大による地域活性化に向けた総合的アプローチを紹介した。次に、
崎山ら(山口大)は山口大が中心に展開している次世代理科人材育成を目的
とした長州科楽維新プロジェクトの夏休みジュニア科学教室事業を取り上げ、
産学公民連携のよる教育効果を報告した。清水ら(岩手大)は東日本大震災
復興へINSの人的ネットワークを活用した、全国の産学官連携団体からの支
援活動の経過と現状と今後について報告した。石田ら(高知大医学部附属病
院リハビリテーション部)は高知県情報スーパーハイウェイを利用した遠隔
地診療や支援、定期運動指導等を紹介し、IT通信を医療・保険・福祉に活用
する価値を述べた。佐藤ら(高知県立大・井上石灰工業)は災害食の現状調
査等を踏まえ、食・機能・高知(県の食材、地産外商、地震リスクの高い県
からの提案)、こころをベースにした高知県産食材を用いた新たな災害食の
共同開発について発表した。いずれも、産学連携プロジェクトの今後のさら
なる発展が期待される。
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−産学官連携プロジェクト2−  静岡大学 木村雅和
6月15日(金) 第2日目 C会場 (10:45〜11:45)

本セッションでは4件の産学連携プロジェクトに関する具体的な事例報告が
あった。まず藤原(高知大学)より大学、自治体等、企業による連携で行っ
た省エネ型下水処理技術の開発研究について詳細な説明があった。本発表で
は産官学連携による事業推進に至った経緯に加え、全国への波及効果などに
ついて報告があった。松本(高知工科大学)は高知工科大学と高知県工業技
術センターとの連携により行っている凍結濃縮装置の研究開発を例として、
産官学連携の新しい取り組みの一つと言える農産業の活性化のために商品開
発について報告した。松本らはさらに、地域の活性化に貢献するためには、
シンプルな加工でありながら農産物に価値を付与できる加工装置の開発が重
要であると提案している。岡村(高知工科大学)は地域の活性化を目的に産
学連携により提案したライブカメラシステムとのソフトウエアの開発につい
て報告した。地域の問題解決に貢献するために、産と学にとどまらず、多様
な領域とメンバーが自主的に集まってプロジェクトを形成したプロセスはま
さに草の根イノベーションと呼ぶべきものであり、興味深い報告であった。
村井(高知県工業技術センター)より兼松エンジニアリング鰍ニ連携して開
発した『減圧蒸留型抽出装置』について、開発から販売に至るまでの経緯に
ついて説明があった。その中で商品化に対しては企業と工業技術センターの
連携のみならず、ユーザー企業との連携が重要であったことが報告された。
全体の発表を通して、産学連携によるプロジェクトの成功事例の報告がなさ
れ、研究開発から商品開発、販売まで地道な産学連携活動として参考になる
セッションであった。産学連携活動が当たり前のこととして行われ、もう産
学連携という言葉を必要としない時代が近付きつつあるように思われた。
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                               以上