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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第308号 <2012.7.27>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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産学連携学会第10回大会
一般講演&オーガナイズドセッション 座長報告(6)

−オーガナイズドセッション「産学連携を科学する」−
鹿児島大学 中武貞文
−オーガナイズドセッション「土佐の食品産業を担う中核人材育成」−
高知大学 沢村正義
−オーガナイズドセッション「産学連携学の研究方法と論文投稿(学術委員
会チュートリアルセッション)」− 山形大学 小野浩幸

※大会のプログラムは、次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/10th_2012/program3.pdf
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−オーガナイズドセッション「産学連携を科学する」−
鹿児島大学 中武貞文
6月15日(金) 第2日目 A会場 (9:30〜11:00)

昨年のオーガナイズドセッション「産学連携を新たなステージに」にて提示
された「社会学的視点」や「歴史的視点」を起点として、新たに産学連携の
実務者の外側にいる多様な研究領域の視座・体系から「産学連携」を科学的
に捉える機会を持ち、そして、これまでに実務に携わる者が、気がついてい
なかった知見、論点、課題を獲得することを目的として今回のセッションを
実施した。座長である中武(鹿児島大学)の趣旨説明の後に、地理学の視点
から外枦保(下関市立大学)、技術経営の視点から西川(県立広島大学)、
社会学・心理学の視点から林靖人(信州大学)、研究者の視点から林里織
(山口大学)、そして科学計量・政策科学の視点から川島(東京工業大学)
が、各々の立場から「産学連携を科学する」というテーマに沿った情報提供
を行った。情報提供や討論を経て、「事例や客観的なパネルデータの蓄積」
の重要性が指摘され、その蓄積された情報は、「科学する」素材となり得る
こと、さらに、産学連携活動の発展に寄与するという共通する認識を登壇者
そして会場と共有し、セッションを終えた。このセッションの議論を踏まえ、
産学連携実務の深化はもとより、「研究としての産学連携」について多くの
学会内外の研究者と議論を行っていきたい。
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−オーガナイズドセッション「土佐の食品産業を担う中核人材育成」−
高知大学 沢村正義
6月15日(金) 第2日目 A会場 (13:45〜14:45)

本セッションでは、文部科学省の科学技術振興調整費による「土佐フードビ
ジネスクリエーター人材創出」に関して発表が7件あった。本事業は地域の
食品産業の中核人材の育成を目的とし、この4年間で当初の目標の2倍近い
115名の人材を養成してきた。文科省の中間評価では「S評価」を受けた。ま
ず、吉用(高知大学)オーガナイザーからこのセッションの主旨説明があっ
た。沢村(高知大学)から、本事業の概要、受講者の成果品事例、土佐FBC
倶楽部(OB会相当)を通したネットワークづくりなどの活動報告があった。
3名の修了者から発表があった。高橋(アグリネットワーク・れいほく(株)
)はユズの生産−加工−販売までを確立し6次産業化を志向した事例を報告
した。渡邊(旭食品(株))は生姜リキュール「ジンジャーショック」の新
商品開発の経緯を紹介した。宮中((株)サニーマート)は東京アンテナショ
ップの初代物販店長の経験を披露した。澤田(高知県産業振興推進部)から
高知県の重点施策である産業振興計画の中に土佐FBCを位置付け、産学官一
体となって人材育成を推進していく方針が示された。本事業終了後の継続に
ついて沢村から、大学、自治体、企業・修了生などからなる委員会において
実施に向けた検討段階にあることの報告があった。最後に、有田教授(北見
工業大学)から本事業が地域再生・人材育成の成功事例である旨の外部評価
としてのコメントをいただいた。
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−オーガナイズドセッション「産学連携学の研究方法と論文投稿(学術委員
会チュートリアルセッション)」−
山形大学 小野浩幸
6月15日(金) 第2日目 A会場 (15:00〜17:00)

本セッションは、産学連携学の体系化・研究の活発化と論文等投稿の促進を
目的として、学術委員会が初めて企画・運営を行うものであった。まず、荒
磯からは、産学連携学会発足時からの設立目的・意図と、産学連携研究の意
義について述べられた。学会創設以来9年が経過し多くの連携事例研究の蓄
積が図られていること、この「蓄積」と図られつつある「体系化」が、地域
の産学連携システムの構築、ひいては豊かで活力に富んだ社会へとつながる
ものであることが強調された。次に、林からは、学会誌「産学連携学」に掲
載された論文を対象とした分析結果について報告された。論文に用いられた
分析手法では、定量分析、定性分析、MIX分析のうち定量分析が5割強と
なっていることが明らかにされた。ただし、平均採択日数では定性分析が最
も短いなど必ずしも定量分析が採択されやすい傾向にあるのではないという
こと、研究テーマに沿った手法を選択することの重要性が指摘された。山口
からは、投稿規定等改正のポイントが説明された。査読ワーキングを設置し
て査読の迅速化が図られていること、査読にあたって論文の主内容(新たな
知見の提示とその論証)を審査の中心に据えられることが説明された。
前半終了後、休憩をはさんで、研究手法論を中心とした発表が行われた。川
崎は、大学産学連携センター等の「学」の産学連携実務の視点からの研究方
法について発表した。産学連携活動に絡めた産学連携研究が有効であること
が指摘され、それは実学としての産学連携研究につながるものであることが
強調された。山口からは、自然科学的アプローチからの産学連携研究につい
て提案が行われた。産学連携研究対象の多くが社会や人間であることから、
数値化されたデータ取得の難しさを指摘しつつ、過去の採択論文をもとに幾
つかの有効と思われる手法論が紹介された。また、松尾からは、社会科学的
アプローチからの産学連携研究について提案が行われた。産学連携研究が、
既存の社会科学のいずれかに分類できない学際的分野であることが指摘され
た。そのうえで、経営学研究者の立場から、マネジメントの視点からの産学
連携研究の分類例が紹介された。これらの発表に対し、活発な質疑応答が行
われた。学会に蓄積されてきた産学連携事例の価値を学会員が改めて意識し、
産学連携学として大きく発展させていく機運を感じさせるセッションとなっ
た。
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   以上