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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第307号 <2012.7.25>

当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(j-sangaku@j-sip.org)までお寄せください。
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産学連携学会第10回大会 
一般講演&オーガナイズドセッション 座長報告(5)

−海外事例− 株式会社東芝 桑江良昇
−国際産学連携− 島根大学 丹生晃隆
−地域イノベーション− 大分大学 松尾純廣

※大会のプログラムは、次のURLよりご覧いただけます。
http://j-sip.org/annual_meeting/10th_2012/program3.pdf
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−海外事例− 株式会社東芝 桑江良昇
6月15日(金) 第2日目 D会場 (9:30〜10:45)

本セッションでは5件の発表があった。鬼頭ら(広島大学)は、インドの工
科系大学数校および日系・インド資本の企業数社を訪問・インタービュー調
査し、インドにおける産学連携は、今後一層展開されていくものと思われる
と述べた。越山ら(千葉工業大学)は、プロセス規格のうち、リスクマネジ
メントの国際標準化に着目し、国レベルでの標準化への産学官の協力体制を
比較して、産学官の連携がさらに高度化すると述べた。丹生(島根大学)は、
海外(スウェーデン、オランダ、イギリス)における大学連携型ビジネスイ
ンキュベータの現地調査の結果を報告し、これらが新事業創出や産業新興の
拠点であることなどに注目した。山崎(千葉工業大学)は、マレーシアに進
出している日本企業にアンケート調査し、同国での産学連携は、現在は低調
であるが、将来的にはより活発化することが期待されると述べた。佐藤ら
(山形大学)は、織物産業に関して、衰退する米沢市と高い競争力を保持し
ている伊コモ市との比較から、今後米沢市でのエコシステムや新しい産学官
連携の構築の必要性を述べた。5件はいずれもわが国の産学連携にとって有
用な参考となる。
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−国際産学連携− 島根大学 丹生晃隆
6月15日(金) 第2日目 D会場 (10:45〜12:00)

本セッションでは5件の発表があった。まず池田(鞄本能率協会コンサル
ティング)らは、現在注目されている途上国におけるBOPビジネスについて、
ミャンマーの農業分野への進出事例を取り上げ、BOPビジネスへの参入には、
産学連携によるアプローチが有効であることを示した。次に、嵯峨山ら(徳
島大学)らは、平成23年度に開設した米国シリコンバレーオフィスの取り組
みを紹介し、海外企業への技術移転活動について、具体的なアプローチや進
捗状況を含めた発表を行った。3つ目の発表として、吉村(北九州市立大学)
は、北九州市と友好協力協定を締結しているベトナム・ハイフォン市につい
て、現地での工場診断や生産管理分野の人材育成等を通じた、裾野産業育成
に向けた取り組みを紹介した。4つ目の発表として、ハロルド(広島大学)
らは、広島大学における国際産学連携活動について、共同研究と人材育成を
組み合わせた取り組みを紹介した。研究者が有する海外の人的ネットワーク
や連携協定のスキーム等を活用し、研究面だけでなく、より相互メリットの
大きい人材育成にも連携を発展させている点が非常に興味深かった。本セッ
ション最後の発表として、中野(広島大学)らは、広島大学の中国における
産学連携について、現地調査の結果を踏まえて、中国進出日本企業との連携
のあり方について論じた。国際的な産学連携活動は未だ緒についたばかりの
ところがあるが、本セッションでは、それぞれの発表者から、具体的かつ実
践的な含意に富んだ事例や取り組みの発表が行われ、この分野のさらなる発
展可能性を感じさせるものであった。
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−地域イノベーション− 大分大学 松尾純廣
6月15日(金) 第2日目 D会場 (13:00〜14:15)

本セッションでは、同じ科研(「地域イノベーション創出の人材育成用教材
の開発と創出のモデル化」)研究グループによる5件の発表があった。第1
の北村寿宏(島根大学)発表は、都道府県別の特許出願件数と大学−中小企
業の共同研究件数の分析をもとに両者の相関関係と両者ともに少ない(=地
域イノベーション力の弱い)地方についての指摘を行なっている。第2の丹
生晃隆(島根大学)の発表は、大学研究成果の実用化事例に関する調査をも
とに産学連携の具体的な内容に関する類型化を行なっている。第3の川崎一
正(新潟大学)の発表は、実用化事例をもとに開発した2種類の教材を活用
して行った実証研修の効果に関するアンケートについての報告を行っている。
第4の伊藤正実(群馬大学)の発表は、地域イノベーション創出に関する課
題について論点提示を行なっている。とくに、地域モデルとして、「小さな
イノベーション」とイノベーション人材醸成の「コミュニティ」の重要性を
主張している。第5の藤原貴典(岡山大学)の発表は、「小さなイノベーシ
ョン」創出のために効果的な事業創出プロセスについての提示を行なってい
る。以上、5件の発表は、地域イノベーション創出の具体的な方法に関する
意欲的な研究の成果である。今後とも地域の「小さなイノベーション」モデ
ルの具体化に期待したい。
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                                以上