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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■    J-SIP Mail
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第0081号 <2007.8.28>
 
当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(h19-office@j-sip.org)までお寄せください。


[[[[ ヘッドライン ]]]]
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1.産学連携学会第5回大会 座長報告(4)
−産学連携プロジェクト事例−
                       東北大学 長平彰夫


2.産学連携学会第5回大会 座長報告(5)
−特許以外の知的財産権−
                       山形大学 足立和成

あとがき

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1.産学連携学会第5回大会 座長報告(4)
「産学連携プロジェクト事例」
                       東北大学 長平彰夫

本セッションでは、産学連携プロジェクト事例として5件の発表があった。
最初の山形大学の池田謙氏は、山形県において進行中である「有機エレクトロ
ニクスバレープロジェクト」について、クラスター理論に基づく先行研究をも
とにして分析を行い、中核機関である「有機エレクトロニクス研究所」からの
事業化普及プロセスについて発表を行った。
続いて、出川通氏が、次世代の先端技術として注目されている「MEMS」の事
業化における産学連携の意義について詳細な分析を行った結果について発表し
た。MEMS事業化のポイントは、特に開発ステージにおいて産学連携などのアラ
イアンス展開がスピードアップのために重要であるとの結論であった。
3番目の山本一枝氏は、科学のアウトリーチ活動の具体的事例として、研究組
織の違う研究者でも興味が涌くためのツールとして用いられている重力マップ
の開発等について発表を行った。
4番目の発表者である山形大学の西岡昭博氏ほかの研究発表では、プラスチッ
ク成型加工技術を応用して、米粉100%による製パン技術開発について興味深い
アプローチが報告された。すなわち、単なる技術の横展開にとどまらず、米の
本質にまで踏み込んだ研究に発展させ、さらに研究にとどまらずベンチャー企
業の設立による事業化にまで進展している点についての報告があった。
最後に、三重大学の伊坪明氏からイノベーション創出に有効な産学官連携構
築事例について、液晶等を中核としたクリスタルバレー構想等を進めている三
重県での取り組みについての事例報告があった。

以上の発表を通じて特筆すべきことは、産学連携プロジェクトが成果を挙げ
るためには、ニーズを踏まえての産学連携が重要であるということである。従
来、シーズとニーズのマッチングといわれてきたが、特に、中小企業は、開発
ステージから産学連携に入るものが多く、研究シーズからの産学連携のアプロ
ーチでは実績が上がらないということが明らかにされた点で意義のある発表が
多かったといえよう。
   以上

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2.産学連携学会第5回大会 座長報告(5)
「特許以外の知的財産権」
                       山形大学 足立和成

 3件の発表があった。1件目は農業生産物の知的財産権を守るための行政の
施策立案のための調査報告と考察である「知的財産権を用いた農業保護と活性
化に関する農業政策」で、高知大学石塚悟史氏が発表された。商標と種苗登録
の実情調査の双方から、農業生産の現場における知的財産戦略の難しさが良く
理解できる発表だった。これは産学連携学会で本格的にこの問題を扱った最初
の発表ではないだろうか。惜しむらくは種苗法に基づく育種権の保護に関して
言及が無かったことだが、国際的な体制も整っていないことから、やはりかな
り難しいのだろう。
次の発表は北海道大学の小川晴也氏らによる「北大ブランド −大学広報に
おける知の活用」で、大学ブランドビジネスにおける産学連携に好例が紹介さ
れていた。看板学部である農学部の産品を実にうまく地元の名物にしていると
ころに、「商売のうまさ」を感じた。
最後は、インターネット著作権の問題を取り扱った東北大学の崔丁童氏の
「日韓の大学におけるオンデマンド型eラーニングにおける著作権に関する比
較研究」だ。韓国でのインターネットの急速な普及を背景に大学等が展開して
いるインターネットでのeラーニングビジネスの問題を解決すべく改正が行わ
れた韓国著作権法と、それらへの取組みが遅れている日本の著作権法の現状と
背景の比較研究で、極めて興味深いものであった。今後この問題が日本で深刻
化する可能性は否定できず、まさに時宜を得た研究発表だったと言ってよいだ
ろう。

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あとがき

みなさまのお盆はいかがでしたでしょうか?
先日NHKにて、京都五山送り火の中継をしておりました。300年続く伝統
の中、今も変わらない人々の想いを感じ、またブラウン管を通して見た送り火
に、心がリセットされたような清々しさを覚えました。先日、地元の地域振興、
産学連携に大きな貢献をされた方の急逝の連絡が入りました。大変残念ではあ
りますが、私たちがまた意志を引き継いで、一歩前進しなくてはと深く感じら
れました。
今年は歴史を塗り替えるような猛暑が続いております。
どうぞみなさま暑さに負けぬよう、ご自愛ください。

          事業委員会 広報グループ 内島典子(北見工業大学)