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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第0062号 <2006.12.25>
 
当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(office@j-sip.org)までお寄せください。

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第4回産学連携学会 座長報告(その5)
1.一般講演「産学官連携プロジェクト1」座長報告
                三重大学 菅原 洋一

2.一般講演「大学の知財戦略」座長報告                
                 山形大学 足立 和成
            
あとがき
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1.
            一般講演「産学官連携プロジェクト1」座長報告
三重大学 菅原 洋一
コラボ産学官での第4回大会では、一般講演中、産学官連携プロジェクト1の座長
を担当しました。このセッションでは、「産学金連携における地域再生プロジェクト
づくり」湯崎真梨子氏(和歌山大学)、「NPOを活用した産学官連携プロジェクト
に見る発展性の可能性」川上浩一氏(北海道大学)、「大学からみた治験の現状と
問題点」渡邉祐司氏(浜松医科大学)、「農工大TLOのお家芸」小森啓安氏(農工
大ティー・エル・オー)の4講演(氏名は発表者のみ)が行われました。
 全国的に見ると産学官連携の枠組は、様々な誘導と必然のもとで、一定の定着と安
定の時期を迎えているかに見えます。一方、産学官連携を担う各組織や各地域にあっ
ては、それぞれの資源と制約のもとで、課題に立ち向かうための取組が行われてい
ます。 4講演は、このような地域的なネットネットワークの形成と運用、各主体の取組
に関わる問題を取り上げたものとなっています。
萌芽的な事例、既に多くの実績を挙げている事 例の双方が含まれていますが、
直接の当事者によって分析されたこのような情報が共有されることは、産学官連携
を必要とする主体にとって意味のある産学官の進展のために、不可欠なことと実感
しました。今後、各地の取組が更に進展し、次回大会ではその紹介や分析によって、
更に触発されることを願っています。

2.一般講演「大学の知財戦略」座長報告                
                                    山形大学 足立 和成
 九州工業大学(発表者:田中洋征氏)、香川大学(同:李鎔環氏)、名古屋工業大
学(同:虎沢研示氏)の国立三大学の知的財産本部もしくはそれに相当する機関
関係者からの大学の知的財産戦略並びにその知的財産活用実績に関する発表
と、東京理科大学(同:平塚三好氏)からの知的財産をめぐる危機管理体制に関
する発表があった。
前3大学の発表は、発明届出の増大と、大学機関としての特許出願件数の順調な
伸張を報告するものであり、各大学がその特色を活かした積極的な取り組みを行っ
ていることが、それなりの成果を上げていることを示していた。ただ、発明届出数や
特許の出願数という尺度で大学の知的財産活用の実態を把握することに、どの程
度実質的な意味があるのか疑問に思える。
実際、特許の審査請求数や登録数という尺度で捉えると、3大学ともにまだ小さな
成果しか上げていない。ライセンス料収入を示している九州工業大学でも、平成
17年度の達成額が1403万円(平成18年度の目標額は3500万円)程度でし
かないから、特許を機軸とした知的財産活用戦略にはやはり無理があるように思え
てならない。不実施補償を要求しても、知的財産本部の財務上の独立性は保てない
可能性が否定できない。もう少し別の切り口があるのではないかと思った。
4番目の東京理科大学の平塚三好氏の発表「大学の自由活発な研究活動を担
保する知財リスクマネジメント」は特許法69条の解釈に関するいわゆる染野説(大学の
行う一般的な研究においては、試験研究のための実施に対する特許の効力の例外規
定は適用されないとする説。)が判例上定着した場合においても、大学における自由
な研究環境を守り抜くための具体的な戦略が示されており、同じ危機感を共有してい
る者にとって、一つの解決策として貴重な発表だった。平塚氏は個人的な見解として
は染野説に反対の立場をとっているが、米国企業などの動きを考えると司法の場で
染野説が完全に否定されるとは限らない。大学本来の使命である研究と教育を守る
上で、氏の取り組みは極めて高い意義を持つものと言えよう。より緻密な対応策を
望む立場から、今後の研究の発展に期待したい。
全体として、高度に専門的な議論にならざるを得ず、議論の噛み合わせが難しかっ
た。

あとがき
第4回産学連携学会座長報告を引き続き連載しますので、担当された先生方は原
稿を佐賀大学 佐藤三郎<1952sato@cc.saga-u.ac.jp>までお送りください。あと1回
でネタが切れそうです。お待ちしています。
 2007年も皆様のご健勝とご活躍をお祈りします。