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■■■■■■■■■■■■ 産学連携学会メールニュース
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■■■■■■■■■■■■ 発行:産学連携学会(編集WG)
 第0049号 <2005.12.10>
 
当メールニュースではイベントのお知らせや公募情報等,
産学連携に関する情報をお流しいたします。
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あるいは産学連携学会事務局(office@j-sip.org)までお寄せください。

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特定非営利活動法人産学連携学会 第2回学術シンポジウム(抄録)
                  (記録 湯本長伯(九州大学))
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「知財立国・日本の知的生産をどう構築するか?大学はいま?」
 第2号の本学会論文集発行に合わせ開催した、第2回の学術シンポジ
ウムでは、この知的価値社会の中で、知財立国を目指すべき日本の知的
生産をどう構築するか?を考えた。知の生産拠点としての大学は、少子
化と法人化の狭間でどうなるのか?そして本学会は?
 第二回は知の生産拠点にウェイトを置きながら、産学連携・知財戦略
推進を考えた。

         記
日時:2005年10月6日(金)・13:30〜16:30  (180分)
場所:学術情報センター(一ツ橋)(〒101-0003千代田区一ツ橋2-1-2)
後援:経済産業省、文部科学省

次第:司会進行:湯本長伯(九州大学)
1)主催者挨拶  産学連携学会会長 荒磯恒久(北海道大学)

2)基調講演−1 荒井寿光(内閣官房知的財産戦略推進本部・事務局長)
「知財立国・日本の基本戦略と課題」知財戦略が産学連携の鍵
『これからの日本の基本戦略は知財立国である。産学連携の鍵は知的共同
作業の成果である知財をいかに活用するかという知財戦略である。今、
産学連携は第二段階へ進みつつあり、地域の中小企業との連携や、地域の
様々な自然資源から新たな知財を創造するといった全面的な展開になって
きている。その中で、大学の事務を始め、支援体制も改善が必要であり、
また学会には学の確立を通じて、人材育成・政策提言に、大きな役割を期
待している。』

3)基調講演−2 清成忠男(日本ベンチャー学会前会長、法政大学前総長)
「国立大学法人化と私立大学の対応」
『大学が直面する様々な困難を踏まえつつ、組織としての本当の独立を新し
く捉え直し、益々重要になる大学の経営体制を革新しながら、社会全体のた
めにも、知の拠点の維持発展を考える必要がある。個々の研究や教育体制も
重要ではあるが、経営力が大学の価値を左右する時代である。その際、情報
公開を前提とする大学のガバナンスを、新たに打ち立てて行く必要がある。』

4)基調講演−3 梶山千里(九州大学総長)
「大学の使命と九州大学の挑戦」
『国立大学にとって大きな変革である法人化を、競争の激化という面より
協調のチャンスと捉えている。国立大学の主要な役割として、《高等教育
と研究》及び、《地方の教育研究拠点》の2つが挙げられ、また高等教育
の今後益々の重要性を強調したい。それらを受けて、九州大学が進めて来
た構造改革について、4−2−4プランなど具体的に述べた。トップのリ
ーダーシップ体制、戦略的な経営、学内外を知悉したガバナンスの、3つ
を柱とする経営・運営改革が構造改革の中心である。九州大学は、多様な
産学連携を改革の推進力とも捉えて進めており、また新しい学術研究都市
の建設を通じて、具体的な産学連携・社会連携の形を作りつつある。』

5)コメント   有信睦弘(鞄月ナ 執行役常務・研究開発センター所長)
「より良い産学連携に向けて」
『イノベーションの在り方が変わりつつある。新しい革新の仕組みに向けた、
産学連携の在り方を考える必要がある。具体的には、先端技術融合型研究拠
点の形成など、研究テーマ(領域)そのものを創造して行くことが重要である。
21世紀に想定される革新としては、知識社会・知的価値社会の到来を受けて
市場も革新されつつ、情報の流通や活用に関わるコンテンツ保護・ネットセ
キュリティなどに新しい技術や仕組みが出て来る。大学だけでなく、企業も
変わらなければならない。
提案としては、Pre-Competitive という概念の共有、産学連携でイノベーショ
ンのビジョンを描く共同作業、そしてそれらを具体的な国家施策・制度改革・
資金的支援などに変えて行くことと、その仕組みの重要性が示された。』 
           ( 休 憩 )
6)パネルディスカッション「知財立国・日本の知的生産をどう構築するか?
大学はいま?」(60分)  
荒井寿光  清成忠男  梶山千里  荒磯恒久   (いずれも前掲)

【 討論概要 】    (5.以降は時間切れで持ち越しとなった)
1.産学官連携から改革へのバランスを考える(産学官公民金連携の支援体制)
2.大学(等)の改革(第3のミッションを明確化、法人化・知財本部設置など)
大学法人の(経営)目標明確化が必要、大学だけでなく企業も行政もが変わるべき
3.設置形態による格差? 国公私立・組合立・・    体制の違い/東西問題
国立から始まり法人化して行くのが歴史的流れ、大きな違いは消えて行く
4.地域格差は首都圏とそれ以外で極めて大きく大学も例外ではない 
地域格差/南北問題 東京一極集中は様々な弊害を生み出しているが、大学の活
力という点でも格差は大きい。荒井氏からは、「だからこそ、産学連携で地域か
ら日本を盛り上げることを続けている訳であり、さらに強化すべき」、荒磯氏か
らは「産学連携を語る中で地方大学の弱点を言っても始まらない。正面から太刀
打ちは出来ないが、そこを突破するべく皆が知恵を絞っている」といった発言が
あった。首都圏の大学は、直接的な予算規模以外に、『首都圏の魅力という投資』
を受けている。設置形態には拠らない有利である。一方、地方では、人口の流出・
減少により大学の求心力も採算性も落ちており、その中で国立大学の存在意義は大
きい。『地域の魅力の相対的マイナス』という地方の現状を考えれば、地方の大学
へはもっともっと投資をすべきであり、出来ればそれに『地域の魅力』というプラ
ス要因を、『まちづくり』や『都市拠点エリア形成』といった周辺からも、兵糧と
して送れるようにしたいものである。
 フロアからは、「産学連携・知財管理に関心があって参加したが、大学格差の問
題を聞かされるとは思わなかった」という発言があり、むしろ大学が過剰に信頼さ
れているという印象である。
しかし、学の基盤強化なくして産学連携は成り立たず、今後も多角的な活性化と実
のある支援策が必要であろう。産学連携学会は、「地域産学官連携を日本のイノベ
ーションの起点とする立場」で考えて来たが、それはそのまま、必死に頑張ってい
る地方(拠点)大学に対する、さらに有効な支援・強化策を、しかも産学連携とい
う方法論を踏まえつつ、実行して行くことに尽きるであろう。議論は半ばに止まっ
たが、今後の課題はより明確になったシンポジウムであった。

5. 学内体制改革(学内センターの確立、学内外のネットワーク再構築、
人材育成の重要性、情報交換・相互研修組織/学会の役割、財団・社団・その他
法人との連携)
6. 産業界の知的生産構造の改革(日本企業の知的価値社会での生き残り、
日本企業のR&Dは世界一ではなかったのか?産学連携による知的基盤の再構築)
7. 産学連携の根元は「科学技術政策」(異種融合による知の生産と国力増進)
  絶えざる知の消費と生産、知の寿命:短命化に対応する戦略
8.2つのC > Corporate Governance / Compliance 企業統治/法令遵守
大学(棚卸の経験が無い、社会内意識が希薄)
企業(社会内存在としてのビジネス・「私」企業意識の払拭、違法行為の代償
を考える)行政府(組織の目的と機能の維持を再考、行政目的の根源を考える)